先日、近所の大型書店で洋書のバーゲンセールをやっていたので足を運んできました。
雑食なのでこれといって特に狙っていたジャンルとかはないんですが、なんだかんだホラーは見つけたらカゴにいれてましたね。
そんなわけで今日はそこで入手した内の一冊をご紹介。
神出鬼没のビッグフットを巡り、獣人を狩ることへ執念を燃やすハンターと、同じ異形を魂の導き手として崇め追いかけるネイティブ・アメリカンの運命が交差する物語。
米国でホラーが大ブームを巻き起こしていた1977年にトマス・ペイジが著した作品。
ビッグフットといえば多くの人はあの岩場で大股なカメラ目線の写真で知っている人が多いのではないでしょうか。オカルト特番で頻繁に取り上げられる存在ですが、何気にあれをメインディッシュにした作品って初めて遭遇するかも。
とはいうものの、ビッグフットの描写だの命のやりとりだのといったホラーアクション要素について、特に目新しいところはないです。良くも悪くも至ってスタンダードなクリーチャーホラー。
ビッグフット自体、"毛むくじゃらな巨人"という以上に特筆すべき特徴もギミック的な能力もこれといってある存在ではないので、その正体とかについても驚愕の事実であるかのような描かれ方はされているものの、読んでいる身としては「ふーん」といった感じ。
そんなわけで物語の中盤あたりまではありがちなモンスターホラーといった印象は否めませんでした。
印象が変わったのは物語の終盤。主要なキャラクターである上記の2人の関係性が変化するんですが、ずっとメインディッシュだと思ってたのは実のところサイドディッシュだったというか。見え方ががらっと変わってからは急速に引き込まれました。付け合わせだと思ってたパンが実はステーキよりも美味い、みたいな。
2人の追跡者があい見え、そこからある種の歪んだセラピーが両方向に完成されていく様子はすごく読み応えがありました。
著者トマス・ペイジは寡作な作者である上、本作は代表作ではないらしいので機会があればそちらのTHE HEPHAESTUS PLAGUEという作品も読んでみたいですね。
あと、地味に面白かったのが序文。
グレイディー・ヘンドリクスというホラー小説に造詣が深い方の文章だったんですが、それによると本作はビッグフットを直球の怪物として描いたことがむしろ特徴的だったとか。
というのも、当時の同系小説の多くにおいて、ビッグフットはいわゆるポルノの"竿役"として描かれ、ヒロインの前で怒張した巨大な陰茎を晒すのがもっぱらだったそうです。
今で言うところのエロファンタジーのオークのポジですね。
んで、本作を手に入れたセールでこの序文を書いたヘンドリックスによる同時代のペーパーバックホラー解説本PAPERBACKS FROM HELLも入手。
現在少しずつ読み進めているんですが、初っ端から鉤十字の腕章を身につけたナチスなエルフが登場する作品が紹介されてて非常に楽しいです。