VISUAL BULLETS

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STAR WARSLEGACY VOL.2 (Dark Horse, 2006-07, #4, #8-13)

  Skywalker の血は途絶えていなかった。 — Cade の存在を知った Sith 、それに帝国の幹部らは各々の目的に彼を利用せんとするためその行方を探し始める。軍の最高幹部 Moff の1人として Sith に忠誠を誓うふりをしつつ、だが裏では自らの権謀術数を巡らす Nyna Calixte 。彼女は20年来の腹心の部下である Morrigan Corde を現場に復帰させ、 Cade の追跡に当たらせるが、 Morrigan もまたとある秘密を抱えていた……。(『 TRUST ISSUES 』編)


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 誰もが知るフランチャイズの映画で描かれた世界から130年(つまり小説版で描かれた他銀河からの侵略者 Yuuzhan Vong との戦争から100年)近く未来の出来事を描く本作 LEGACY シリーズ。 Marvel から刊行されている Epic Collection では1冊の合本に20冊分のリーフがぎっしり詰まっており、それだと私の時間的余裕も金銭的余裕も追いつかないので旧 Dark Horse 版合本のペースで進めていこうかと。
 今回は色んなエピソードの詰め合わせ。続きものになっているのは上記あらすじにある『 TRUST ISSUES 』編と Cade が父を失った Ossus で再び Jedi として修行し始める『 GHOSTS 』編。他は物語序盤でどのように皇帝がシスの手から逃れたかを描いた話や、その皇帝がシスからの刺客と対決する話、あるいは新米 Storm Trooper の初陣と成長を描いた話というラインナップ。
 どれも外堀を埋めるような話のため主役である Cade は『 GHOSTS 』編を除いてほぼ登場しないものの、後の展開への伏線も臭わせる短編となっている。まあ、前回の記事でも述べた通り映画で描かれている時代より政治の絡みがやや複雑になっているため、頭を慣らすための猶予期間とでも思えばよろしいかと。話自体はどれも十分面白いしね。
 
 アーティストはそんな事情からどれもバラバラなものの、ライターは一貫して John Ostrander 。浮き沈みの激しいこの業界で Suicide Squad を生み出した1980年代後半から30年近く活躍し続けていることからその力量や推して知るべし。
 彼が本作で描くキャラクターの多くは立場と志との間で板挟みとなっている。 Skywalker 家の末裔としての責任に背を向けつつ、だが Jedi の心を捨てきれない Cade を始め、帝国の人間としての務めを優先して大切な者達と別離した Morrigan 、上官の命令は絶対ながらかつての仲間を殺害しろと命じる Sith に反感を覚える Storm Trooper 達など、スポットライトを当てられるほぼ全ての人物が社会における位置と自らの目的との間で生じる葛藤に苦しんでいる。
 こういう登場人物に二者択一を迫るのはちょっと日本的と言えるかもしれない。個人的には岡本喜八の映画とか思い出す。
 今後、彼ら1人1人のディレンマが交わった際にどのような化学反応が起こるのか非常に楽しみなところです。

 あ、それと『 GHOSTS 』編のラストではフランチャイズのマスコットキャラ(?) R2-D2 が参戦します。


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