本当に強い者は卑怯な敵にも正々堂々勝利する。
本作を収録するSupermanのベストエピソード集(Amazon): Superman: A Celebration of 75 Years
突如世界に姿を現した特殊能力者のチームElite — 強力なテレパスであるリーダーのManchester Black、あらゆる形のエネルギーを吸収し発射するColdcast、体の中にエイリアンの生体兵器を棲まわせるMenagerie、魔法の帽子を操るThe Hatの4人は、既存のスーパーヒーロー活動は何の解決ももたらさないと犯罪などの悪に対し”目には目を”を標榜し活動を開始する。殺しも辞さない彼らに当初説得を試みようとするSupermanだが、Blackはそんな彼を小馬鹿にしてあしらう。徐々に世界がEliteの鉄拳制裁的手法を受け入れようとする中、やがてSupermanは彼らと戦うことを余儀なくされるが……。
Supermanのベストエピソードとして数えられることもしばしばな1話完結。ちょっと重要かとも思ったし個人的にも前々から読んでみたかったので記事1つ割いてみました。
90年代から2000年代にかけ数多く登場したAUTHORITYなどのチームがゴールデンエイジやシルバーエイジのメルヘンなスーパーヒーローに対するアレルギー反応だとすれば、本作はさらにそんな作品群へ対するアナフィラキシーショックとでもいったところか。
”現実に世界で起こっている問題に対しスーパーヒーローなんて無力だ。”
とせせら笑う者達に対するライターJoe Kellyからのカウンターパンチとも言える。
アーティストはDCで数多くの作品を手がけているDoug Mahnke。Mahnkeの描くがっしりとした顎のSupermanはとても格好良い。FINAL CRISISの時も思ったけれどこの人、堪忍袋の緒が切れたSupermanを描かせたら右に出るものはいない。他にもJOKERなどで知られるLee Bermejoなども参加している。
世の中間違っていると思うことは少なくない。財や立場を利用して卑怯な手を使ってくる者にはそれ相応の仕返しを、と思うことも。
しかし、本作でSupermanが言うように感情に身を任せることは簡単である反面、さらなる嫌悪憎悪以外に何も生まない。
卑劣な相手にこそ、威風堂々と対処すべきだ。
以前から何度も述べているようにスーパーヒーローとは人々のシンボルだ。そのシンボルが怒りから行動し、強硬で高圧的な態度を取るばかりではあまりに悲しい。世界最大のヒーローでありシンボルであるSupermanはそのことを知っている。そして、人がそうしようと思えば親の敵にさえ慈悲を施すことのできる存在であると信じている。
だから彼でいられるのだ。
既に15年近く前の作品だが、最近の世の中を見ていると今読んでおくべきかもしれないと思わなくもない。