さくっと読めて、でも病みつきになる楽しさ。
分冊キンドル版(Amazon): Giant Days #1
純真無垢なメガネっ娘のDaisy Wooton、行く先々で珍騒動を巻き起こすドラマクイーンのEsther De Groot、そしてニヒルで(自称)常識人のSusan Ptolemy — 大学の寮で部屋が隣同士になったことをきっかけに仲良くなった3人は波乱に満ちたキャンパスライフを共に歩んでいく。
物語も面白ければ絵も大変可愛らしい。日本では巷に溢れ返っている日常物もアメコミにしてみるとまた違った面白さがある。
Boom!Studiosは大人から子供まで楽しめる実験レーベルBoom!Boxからの作品。Boom!は派手なヒットこそ少ないものの、思い出した時にぽっと心に楔を打ってくる作品を世に送り出すようなところがあり、本作も元々は6冊で終わるミニシリーズの予定だったのが、予想外の人気を博したために通常連載へ昇格。現在も着実に冊数を重ねている。
ライターはウェブコミック出身のJohn Allison。当初、本作は彼の自サイト上で連載していたSCARY GO ROUND(既に終了しているようなのでそのうち一気読みしてみようかと)のスピンオフとして始まり同人誌として刊行されていたのがBoom!に採用されてリブートされた作品だとか。最近ウェブ出身のクリエイターが増えつつある状況はアメリカも日本も同じらしい。
アーティストはペンシルにSCARY GO ROUNDへもゲストアーティストとして寄稿したことのあるLissa Treimanと、カラーにBoom!を主な活躍の場としているWhitney Cogar。どちらも初めて聞く名前だったけれど、調べてみたところTreimanはディズニーでアニメーターもしているとか。確かに目に優しい人物造型とか、赤面した時の表情とか、かの鼠の会社の2Dアニメを思わせる描写がちらほら。
内容に関しては文句なしの面白さ。ストーリーとアートがマッチしていることやキャラクターが個性豊かなことは勿論、日本とは異なるアメリカの大学生活ならではのイベントが次から次へと見ることができる。この手の作品は「ああ、私もこんなキャンパスライフが送りたかった……」と思わせたら勝ちなわけで。そういう意味では私なんかはあっさりKOされやした。
また、すぐに物語の矛先が惚れた腫れたへ向いてしまうこの手のジャンルに苦手意識が全くないでもない(一方で日本の日常物みたいな女の子ばかりキャッキャウフフしてるのは色々疲れる)私としては恋愛要素もありつつ、だが必ずしもそれが中央に陣取らない絶妙なバランス加減が好印象
主人公が苦難を乗り越え仲間と共に世界を救うコミックも面白いけれど、そればかりだと流石に疲れる。そんな時は是非本作でも読んで心を軽やかにして頂きたい。
分冊キンドル版(Amazon): Giant Days #2
分冊キンドル版(Amazon): Giant Days #3