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JSA BY GEOFF JOHNS: BOOK ONE (DC, 1999 -)


JSA by Geoff Johns Book One (JSA (1999-2006))

 世界初のヒーローチーム、再び。

 スーパーヒーローの黎明期にクライムファイター Sandman として活躍した Wesley Dodds が不可解な死を遂げた。葬儀に集まったのは初代 Flash こと Jay Garrick や、 Dodds の元相棒を務めていた Sandy Hawkins など、彼の元盟友やその次世代のヒーロー達。
 喪に服していたところ謎の集団から襲撃を受けた彼らは、この脅威の正体を突き止めるべく新たな Justice Soicety of America を結成する。

  Justice Society of America とは、いわゆるゴールデン・エイジ真っ盛りの1940年代に活躍し、その後生まれた Justice League や Avengers といったチーム物の礎を築いた世界最初のスーパーヒーローチームである。 DC ユニバースの複雑な歴史に振り回されてやたら消えたり復活したりするこのチームが99年に新たな体制で始動したのが今回紹介するシリーズだ。

 メインライターは今や DC の重鎮として DOOMSDAY CLOCK などを手がけている Geoff Johns 。他にも DC の映像作品に数多く携わっている David S. Goyer や、今回チームの控えメンバーとしても登場する Starman のソロタイトルが有名な James Robinson など。
 また、アートについても本シリーズが代表作の Stephen Sadowski をはじめ、様々なクリエイターが参加している。

  Johns はシリーズを手がける際に何らかのテーマを与え( FLASH では”伝統”、 GREEN LANTERN では”恐怖”など)、それに沿ったストーリーを編み出すのを得意とする。
 そんな彼が今回の新生 JSA に与えたテーマは”家族”だ。
 ゴールデン・エイジに活躍したヒーローとその血縁が大半を占めるチーム編成を見てもそのことは見て取れるが、ストーリーについても Sentinel こと Alan Scott と彼の息子である Todd との確執に焦点が当てられたり、あるいは Atom Smasher の母がテロに巻き込まれて死亡する展開など、手を変え品を変えこのテーマを繰り返し扱われる。

 家族的性格の強いチームとしては他に Justice League International が挙げられるが、あちらは完全にシットコムの方向へ舵を切っていたため”スーパーヒーロー”とはいささか相性が悪く、人によって賛否両論あるのに対し、こちらはどちらかといえば理想的な家族像を追究しているため、安心して読めるヒーロー物になっている。
 とりわけ家族を失った Atom Smasher に対して、 JSA がその代替として機能して、倫理に違反しそうになる彼を押し止める描写などは中々興味深かった。

 スーパーヒーローでも善悪が曖昧な領域を描くことで”正義の意味を問う”なんて作品が特に2000年代以降のトレンドとなっているが、本シリーズは上記の理由からそういった描写がほぼない。
 しかしそのことは逆に、殺人やレイプを安っぽい舞台道具として使用する作品群より、よほど本作を誠実で「スーパーヒーローらしさ」と正面から立ち向かっている作品にしている。
 
 今後このチームがどのようにして結びつきを強め、正義を高めていくのか。しかと見守っていきたい。




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