MARJ IS THE NAME--
TEMPORAL CRIME'S THE GAME--
ADVENTURE'S THE AIM--
- MARJORIE JINNEGAN, TEMPORAL CRIMINAL #1 by GARTH ENNIS, GORAN SUDZUKA et al, AWA
あらすじ
時空を移動し、各時代のお宝を強奪することで生業を立てている時空犯罪者のマージョリー・フィネガン。
今日も古代エジプトから宝石を盗むことに成功。
途中派手に何人か手にかけてしまったものの、問題はなし。
彼女の持っている特殊な装置があれば、喩え人を殺めてしまっても過去は時空を歪めない形に修正されるからだ。
相棒のティム(首だけ)のしかめっ面をよそにマージョリーの気分は上々。
だが、マージのすぐ後ろには時空警察の追手、そして彼女を監視する謎の存在が忍び寄っていた…。
感想
昨日のコミックエッセイでも軽く触れましたが、今日からリーフ単位の感想記事もあげていこうと思います。
正確には HEDRA あたりからやってはいたんですが、単行本だけだと毎日のように記事上げるのは厳しくなりつつあったし、ちょうど他にも単行本になるまで感想書くのが待ちきれない作品とか増えてたんで。
リーフの感想と単行本の感想とのペース配分をどうするかは今後やりながら決めていきたいなと考えてます。
さてさて、本日紹介するのはガース・エニスとゴーラン・スヅカ、それにマイロスラヴ・ムーヴァの新作 MARJORIE FINNEGAN, TEMPORAL CRIMINAL の第1号。
先に本作を出版した AWA 、正式名称 ARTISTS WRITERS & ARTISANS, INC のことを話しておきましょう。
AWA は前マーベルの編集トップだったアクセル・アロンゾが退社後に新設した出版社です。
まだ業界内で新参者とは謂え、アロンゾがこれまで培ってきた人脈を頼りに、はやくもJ・マイケル・ストラジンスキーやブライアン・ヒルといった第一線で活躍するクリエイター達の作品を出しています。
また、アロンゾといえばエニスとは PREACHER などで編集者として共に仕事をした人物でもあります。
とりわけ犯罪物に定評がありますね。
マーベル時代のアロンゾの手腕には正直疑問符が付くこともないではなかったのですが、ここでの彼はその前の VERTIGO 時代に戻ったような手腕を発揮してくれればと思います。
さてさてそんな本作ですが、やっぱりエニスの作品は面白いですね。
まずなんといっても主人公のマージが強烈。
彼女は作中で美しき時空犯罪者として描かれていますが、容姿以上に自分の好きなことをやっているのだということがひしひしと伝わってきてとにかくかわいい。
犯行に伴うスリルと成功の喜びにタオル一枚で踊り回る彼女の姿に思わず惚れてしまいます。
好きなことをやっている人というのはとにかくかわいいです。
ちなみに冒頭のモノローグは作中からの抜粋なんですが、こう単なる自己紹介にとどまらず彼女の人柄などがにじみ出ていてかなりツボでした。
ガース・エニスの作品といえばまず”バイオレンス”をキーワードにして挙げる方も多いかと思いますが、実はコメディアンなところも魅力的。
代表作である THE BOYS や PREACHER といった代表作でもそうでしたが、彼の場合は単純なゴア描写ではなく、そこには大抵”笑い”が入っています。
それが多いとホラーになるし、少なめだとアクションコメディになる。
本作は後者ですね。
バイオレンスな描写はあるにはあるのですが、その手の描写がひどく苦手というわけでない限り、うっとなるようなものはないと思います。
スヅカの作画やマイロスラヴ・ムーヴァのカラーのおかげもあり、コミカルさが強調されていてどちらかといえばカートゥーンを観ているような感覚です。
今号はまだ全体のプロローグといった印象だったものの、既にかなりハイスピード&アップビートで物語は進んでいます。
既に登場している強烈なキャラクター達が今後どう交わっていくのかがとても気になる作品です。
それでは本日もよいコミックライフを。