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ウルヴァリンの設定

ウルヴァリンといえばマーベルを代表するキャラクターの1人として知られてますが歴史を辿ってみると本当に多数の編集者やクリエイターが関わって今の形に落ち着いており、”マーベル”の合作感が凄まじいです。

以下のリンクは INVERSE からの記事。

www.inverse.com

こちら、ちょっと前に掲載されたもので関係者へのインタビューを中心にウルヴァリンの生い立ちを辿るものなんですが、大変読み応えがあります。


一般的にウルヴァリンの生みの親と言われているのは編集者のロイ・トーマス、ライターのレン・ウィーン、アーティストのジョン・ロミータの3人と言われていますが、実際には彼らの他にも色々な人が関わって現在我々がよく知る形になったそうです。

具体的には

・ロイ・トーマスがマーベルに国際色を取り入れたくてカナダに生息する動物"クズリ"に由来する”ウルヴァリン”というコードネームのキャラクターを提案。

・ジョン・ロミータがデザインし、三本爪を与える。今とはマスクの形状が異なり、特に耳っぽい部分は背面からきている。

・レン・ウィーンが三本爪に”アダマンチウム製”という設定を加える。

・実際にウルヴァリンがデビューした THE INCREDIBLE HULK #180&181 の作画をしたのはハーブ・トリンピ(脚本はウィーン)。

・その後、ウルヴァリンが X-MEN 入りする GIANT SIZE X-MEN を作るにあたり、デビュー時はなかったミュータント設定が加えられる(決めたのは多分担当ライターとなったウィーン)。

・カバー画を担当するギル・ケーンがマスクのデザインを大幅に間違えて描いてしまい現在の形に。

・続きの ALL NEW, ALL DIFFERENT X-MEN を担当することになったクリス・クレアモントがアーティストのデイヴ・コックラムと共にウルヴァリンを(ウィーンの設定だった)”青年”から”中年”に。

・それまで爪はグローブに収納されているという設定だったものの、コックラムが拳から直に突き出しているイラストを描いたので採用。

……などという経緯で現在の形に落ち着いたそうです。

記事にはその後も色々な必然偶然が重なってウルヴァリンの歴史が紡がれてきたことなどが書かれており、面白い小話がたくさん語られているので気になる方はチェックしてみて下さい。


INVERSE の記事には書かれていませんが、自分も別の場所で当初マスクを脱いだウルヴァリンの素顔は髪型がぺったりしていたものの、誰かが「マスクに寄せよう」と提案して現在の寝癖みたいな形状になったという話を見たことがあります。

マーベルや DC のキャラクターは様々なクリエイターが関わっているため偶発的に設定が加えられたり改変されたりすることは少なからずありますが、ウルヴァリンほど初期段階から合作感のあるキャラクターというのも中々珍しいかもしれません。