VISUAL BULLETS

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ダニエル・ウェイ

デッドプールのこともあるし、数日前にもちらっとゴーストライダーのことを言及したこともあって思い出したのでダニエル・ウェイのことを少し。

ダニエル・ウェイは2005年から2010年くらいまでマーベルで精力的に活躍していたライターです。

フラグシップタイトルや大きなクロスオーバーイベントを手掛けるようなことはなかったものの WOLVERINE: ORIGINS や VENOM といった数多くの関連タイトルでレギュラーライターを担当しました。

特に2008年から2012年まで連載された DEADPOOL シリーズは好評を博し、その人気ぶりはデッドプールが映画進出するのに大きな後押しとなったと言われることもあります(映画自体にも少しだけ協力したとかどっかで読んだ気がする。2013年に出たデッドプールのゲームは彼の脚本によるもの)。

ところが2010年代に入ってからめっきり仕事量が減り、マーベルでは2013年の THUNDERBOLTS を最後にレギュラータイトルの仕事はしていない模様。

それからしばらくアバターやイメージにおいてゲストライターのような形で作品を手掛けていたようですが、それもここ数年はとんとその名前を目にしなくなってしまいました。

気になったのでさっき本人のツイッターを覗いたところ、育児に関する内容が中心で仕事の話は少なく精々でデッドプールの特別編などに寄稿するくらい?

育休中なのか、コミックからは引退してしまったのか……。


アクションもドラマもバランス良く書けるし、力任せではない上手などんでん返しを書けるライターなので自分はかなり推してるんですが、 Reddit 他ネットの書き込みを見てるとかなり賛否両論なようで。

デッドプールに複数の人格を与えたりヴェノムを『遊星からの物体X』風に書いたりキャラクターに独自の設定を加えたりと、それまでの描き方から大胆に方向転換する作風などが既存のファンにあまり受けが良くないみたいです。

確かに新しいキャラクターや作品を生み出したり既存の要素を深めたりするよりは、それまであったものに変更を加えるようなところはあるかもしれないので(一応映像化もされたヒット・モンキーというキャラは生み出してますが)、ウケる人にはウケるもののウケない人には徹底的にウケないといった感じなのかもしれません。

一部で揶揄されているほど酷いライターでは決してないですし、作風も油断すると凝り固まりがちなコミックの風通しを良くする類なので、個人的にはいつかまた活動再開してほしいところ。


とりあえず今オススメするとすればタイミング的なこともあるし WOLVERINE ORIGINS #21-25 ですかね。

スティーブ・ディロンがペンシルを担当しており、 PUNISHER などで彼のバイオレンス描写を知っている方は期待を裏切られないと思います。

最初から最後までウルヴァリンとデッドプールのガチンコバトルを描いており、この2人が衝突するヤバさを体感できます。

ちなみに本エピソードをきっかけにウェイはデッドプールを手掛けることになったので上で紹介した DEADPOOL の単行本にもこちらは収録されています。