VISUAL BULLETS

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デアデビルとエヴェレットについてもう少し

デアデビルの話から派生したのにあんまそっちの話ができなかったので。

デアデビルといえば彼の”盲目”という設定についてはちょくちょくスタン・リーが発案したような認識を目にするんですが、あれはなんでも自分の功績にしてしまうリーお馴染み(?)の悪い癖でおそらくこの設定を加えたのはエヴェレットです。

実は彼の娘ウェンディ・エヴェレットが生まれつき目が不自由な代わりに聴覚が鋭敏だったらしく(ただし全く見えないわけではなく、なんなら父親の作業を手伝っていた)、これがマット・マードックのキャラクターに大きく影響を及ぼしたものと思われます。

実際、過去に TWOMORROW が彼女にインタビューしたものを再掲した以下のリンクには、父親とデアデビル=マット・マードックの設定について意見を交わしたという証言もあり。

Interview with Wendy Everett - Bill Everett's daughter - Comic Book Artist #2 - TwoMorrows Publishing

英語のウィキなどを覗くとデアデビルの生みの親は往々にして「スタン・リーとビル・エヴェレット(+ジャック・カービィ)」という書かれ方ですが、調べてみるとデザイン面をカービィが、それに基づいたキャラ設定をエヴェレットが担ったところが大きく、リーについては”デアデビル”という呼称を用いようという提案をしたという以上はどれくらい関与していたのか正直よくわからないところがあります。


他にもエヴェレットについては実家がハーバード大学の学長を輩出するようなとんでもない名家だったり。

そのためかお金に無頓着で稼いだ原稿料を自宅のリビングにばら撒いてたり。

一方で後年はアルコール依存症患者をサポートする活動などにも精を出し葬儀にはコミック関係者よりそっち関係の参列者の方が多かったり(その中にはゴーストライダーを世に送り出した1人でこれもまた依存症だったゲーリー・フレデリックとかもいた)。

とにかくネタに事欠かない人です。

ただなんといってもビル・エヴェレットは「優れたカートゥニスト」であり、これが最も彼にふさわしい称号だと思います。

なので彼のファンとしてはもっとちゃんと評価されてほしいというのが正直なところです。