VISUAL BULLETS

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元祖の方

さっきの記事で「スタン・リーが”デアデビル”という呼称を使ったキャラクターを起用することを提案した」と書いたのについて。

これはレヴ・グリーソン・プロで作られたヤツの著作権が切れたのでそれで何かできないかとリーが画策したという意味なんですが。


そういやこっちの元祖も米国コミック史においては最初期に登場した身障者のスーパーヒーローだったんですよね。

少なくとも初登場時は。

元祖デアデビルはジャック・バインダーとドン・リコの手により生み出されたスーパーヒーローで1940年に SILVER STREAK COMICS #6 でデビューしました。

両親を目の前で殺害された上に犯人の手で左胸にブーメラン型の焼印を押されるという中々トラウマチックなオリジンなんですが、デビュー時はそのせいで言葉を発せなくなっているという設定だったわけです。

ところが会話できないというのは色々と不便だったのか”失語症”という設定は早々に修正され、次に登場した際は普通に喋れるようになっていたとか。

以下の SCREEEN RANT の記事などが詳しいです。
screenrant.com


コミックで言葉を使わない作劇は割とポピュラーで、ぱっと思いつくだけでもインヒューマンズのブラックボルトとか2002年にマーベル全体で敢行されたイベント 'NUFF SAID とか、あるいは近年だと2014年にアイズナー賞を受賞した HAWKEYE #11 の "PIZZA IS MY BUSINESS" なんかもあります。

どの例もオリジナリティがあり、コミックという媒体の可能性を大きく押し広げる結果となりました。

レヴ・グリーソンのデアデビルも工夫次第で色々と面白いことになっていたかもとその可能性を考えるとちょっと勿体ない気がしないでもないです。


とはいうものの、このデアデビルはそれでも高い人気を維持し1956年くらいまで活躍し続け、現在は”デス・デファイング・デビル”という名前で復活しダイナマイトの PROJECT SUPERPOWERS とかで活躍しています。


元祖の方がマーベルの方にどれくらい影響を与えたかはよくわからないんですが、元祖の得物がブーメランでマーベルの方がビリークラブというのはなんとなく繋がりを感じるような感じないような…?