さっきのヴィンス・コレッタの記事、最後の文で「技術的な面では」と言ったとおり、実はインカーとしての仕事ぶりとは別のところで彼には別の悪評があったりします。
まあ、有り体にいえば産業スパイです。
70年代にスタン・リーひいてはマーベルとの関係が悪化したジャック・カービィは DC へ移籍し、そこで NEW GODS をはじめとしたいわゆる”フォース・ワールド・サーガ”を手掛けることになるんですが。
どうもコレッタはこれをマーベル側に流していたようで。
当時のコレッタはフリーランスとして DC からの仕事も請け負っていたんですが、どうもそこで自ら担当したフォース・ワールドの新作をマーベルに横流ししていたようです。
刊行前の NEW GODS #1 がマーベル内で散々読み回されていたどころか、アートディレクターのマリー・セヴリンからファンレターまで貰ったカービィの驚きや図り知れず。
他にもコレッタは当時の DC の編集トップだったカーミン・インファンティーノに接近し「俺はスタン・リーのこともあんたのことも良く知ってるから」などと壮語しスパイとして自らを売り込んだりもしていたとか(無論、インファンティーノはこのオファーを断りました)。
こうしたことから最終的にコレッタはカービィのインク担当を外れるわけですが、すると読者からはインカーが交代したことでカービィがマーベルの頃のタッチを失ったと糾弾する声も上がったとか。
コレッタ自身はといえばその後 DC のアートディレクターにちゃっかり就任していたりします。