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悪いのはベンディスかバーンか

もうワンダのヤバさについてはみんな知ってるのでネタバレもくそもないと思うんですが念の為以下ネタバレ注意。


スカーレット・ウィッチがネット上で話題になると「近年の彼女のイメージを貶めたのは AVENGERS: DISASSEMBLED や HOUSE OF M 、ひいてはそのライターであるブライアン・ベンディスだ」と主張する人がいますが、するとそれに対して「違うそうじゃないベンディスより先にジョン・バーンがやらかしてたんだ」という反論が出てくるパターンは結構な頻度で目にします。

長年アベンジャーズの一員として活躍していたスカーレット・ウィッチことワンダ・マキシモフ。

彼女に「精神が不安定になり力を暴走させるやべー人」というイメージを定着させたのが AVENGERS: DISASSEMBLED 、そしてその続編的位置づけの HOUSE OF M です。

マーベル・ユニバース全体の大きな転換期ともなった事件なだけに、これをもってベンディスを非難する人は多いんですが、そもそも彼女が初めて正気を失ったのは15年近く前の AVENGERS WEST COAST #56 の DARKER THAN SCARLET というエピソードにおいてでありまして。

(色々あって)ヴィジョンとの関係を壊され、子供たちも自分の力によって生み出されたに過ぎないことが判明してしまうなどのトラウマで正気を失ったワンダが悪に堕ちてしまう話なんですが、バーンはシリーズの方向性で編集部と意見が合わなかったことから次の #57 でやっつけ仕事のようにワンダの記憶から子供たちの存在を消して問題を解消し、そのままライターを降板しちゃうんですよ。

なので「ベンディスが AVENGERS: DISASSEMBLED で使ったネタは元々バーンのものだったから、ワンダに関して非難するならベンディスよりまず最初に彼女を暴走させたバーンだろ」という意見に繋がるわけなんですが。

ただ一方でバーンが宙ぶらりんのまま放置していたワンダの記憶に関しては AVENGERS WEST COAST の続刊で別のライターが補完してワンダは子供の記憶を取り戻していることになっていたりするんで、やっぱ情報を都合よく取捨選択したベンディスが悪い……と議論は続き。

以下の CBR の記事にこのあたりの経緯を詳しく書いてあるので気になる人はチェックしてみて下さい。

www.cbr.com

個人的にはベンディスにしろバーンにしろどっちが悪いとも思わないというか。

そういうのを確認するためにエディターがいるんでないのかいという気もしないではないし。

AVENGERS: DISASSEMBLED については特定の誰が悪いというよりはマーベル全体の責任じゃないかと思います。

その後もディズニーとフォックスの版権争いで彼女の設定をさらにぐちゃぐちゃさせたのもマーベルだし。

なんにせよクリエイター陣やシリーズがころころ変わるマーベルや DC ではこういうことちょいちょい起こります。