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ヴィンス・コレッタ

昨日のインカー記事、ジャンソンとか割とペンシラーとしても有名な人が多くて、話の流れ的にも結局インカーよりもペンシラーとしての側面に重きを置いてしまったようで読み返すと少々不満でもないので。

……今日は良くも悪くも有名なヴィンス・コレッタの話をしましょうか。

ペンシラーもやってた人ですが、間違いなくインカーとしての知名度が圧倒的な人ですし。

ヴィンス・コレッタは50年代から60年代にかけてインカーとして活躍した人物です。

60年代は特に数多くのジャック・カービィ作品(特にソーが有名)でインクを手掛け、シルバーエイジにおけるマーベルの絵柄を方向づけたと言われています。

なんといっても彼の最大の武器はその速さで、普通のインカーでは締切に間に合わないような短時間でも作品を仕上げる業界でも有数の速筆インカーとして知られていました。

ただ一方でその速度を優先し過ぎるためか、下書きの細かい部分を無視してしまったり背景の人物さえ塗りつぶしてしまうこともあったりするなど乱暴な側面もあり。

編集者からは重宝されるものの、ペンシラーからは疎まれがちで、スティーブ・ディッコなんかはカービィの名を冠した作品だからと手にとってもコレッタの名を目にして棚に戻してしまうほどの毛嫌いぶりだったと言われています。

技術的な面だけについて言えば彼の評価は二分されており、特にジャック・カービィのファンからは彼のペンシルを台無しにした人物として酷評される一方、それ以外からはそれなりに評価されているところもあり、死後の2016年には優れたインカーに送られるインクウェル賞特別賞を受賞しています。