久しぶりにスコット・スナイダーがコミックライターとしてデビューする前に書かれた短編小説 THE THIRTEENTH EGG を読みました。
以前も下の記事でさくっと紹介した作品。
スティーブン・キングの息子で SLEEPING BEAUTIES の共著者でもあるオーウェン・キングが作家のジョン・マクナリーと監修したアンソロジー集 WHO CAN SAVE US NOW? に収録されています。
太平洋戦争終戦直後の田舎町を舞台に、戦争中の核実験に巻き込まれ体に異変をきたすようになってしまった青年の顛末。
人ならざるものへ変化していく恐怖や、故郷を離れている間に生まれてしまった恋人や両親といった周囲との距離に対するもどかしさが、地元で行われるドラッグレースという舞台で収束していくストーリー。
タイトルの ”THIRTEENTH EGG (13番目の卵)” というのは1パック12個入りが普通の卵パックに入り切らない13個目の卵を指し、本作のテーマを象徴する存在となっています。
おそらくヒューマン・トーチをメインモチーフとしている本作は”核実験”や”感情のトリガー”という既視感のある要素を散りばめておりオリジンものと解釈することも可能な一方、帰還兵のトラウマというドラマパートを自然に絡めることで独創的な作品に仕上がっています。
スナイダーがスティーブン・キングから大きな影響を受けていることは AMERICAN VAMPIRE で共著したことなどからも多くの方に知られていますが、本作を読むと確かにヒューマンドラマと超常ストーリーの絶妙な落とし方はキングさながらといったところ。
コミックライターとしてのスナイダーも嫌いではないんですが、また小説にも挑戦してほしいなと強く思わせる完成度の高さです。
30ページに満たない短い物語ですが、大変オススメ。