VISUAL BULLETS

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出版社と政治

あまり時事的な話題に飛びつくようなことはしたくないんですが、 SNS とか見てもあまり取り沙汰されていないようなんで。

どこぞの党から出てる元漫画家の議員候補の方がいるじゃないですか。

ちょっと気になったんですが、あの候補に関してその人が連載していた雑誌なりその出版社なりは何か声明みたいのは出したんですかね?

いや、確かに漫画家はあくまで個人だし、その人がどこで何をしようが出版社とは関わりのないことという言い分はわからないでもないのですが。

一方で当の議員候補の方は自作品のキャラクターを広報に使ったりしてるようなので。

こうした行為に対して、作品の著作権が作者に帰属するとは謂え、その本を刊行している立場として読者へ何らかのアクションはないのかな、と疑問に思った次第です。


このことで思い出すのはパニッシャーのロゴの話。

パニッシャーを象徴するといっても過言ではないスカルマーク。

あのマークは現在米国で保守寄りの過激な人達に好んで使われており、去年の1月に議事堂乱入事件が起こった時にもロゴを衣服にあしらった方々がやたら目について一時問題視されていました。

明らかにパニッシャーというキャラクターの文脈とは反するシンボル化について、マーベルが何らかの対応を取るかと思われたんですが、今に至るまで特にそのようなものはありません。

一応パニッシャーをしばしお蔵入りさせるだけして、最近ロゴを新調し再び活躍中だそうですが、出版社としてどういう立場を取るかというメッセージは特になし。

作品やキャラクターの恣意的な政治利用について沈黙する出版社に対し、1人の読者としてはあまり良い印象は抱きませんでしたし、このブログでもちょろっと文句を言いました(あまり良い記事でなかったので今は消しましたが)。


それを踏まえて話を戻すと、某議員候補の漫画を連載していた雑誌及び出版社。

パニッシャーの版権がマーベルにあるのに対し、某議員候補のキャラクターの著作権は当人にあるという明白な違いはあるので単純比較はできないのですが。

自社で刊行している商品と関連する作品なりキャラクターを政治利用されているという状況は似ているわけであって。


応援するにしても距離を取るにしてもそろそろ何らかの声明を出すべきではないのかな、とは思います。

既に同じ雑誌で連載していた漫画家の方が応援メッセージと受け取られかねないアクションを起こしているようですし、第三者に不本意なイメージが作られてから払拭する方が面倒ではないかと。


この出版社、以前どこぞの新聞で漫画の広告出して炎上した時も同じような対応だった覚えがあります。

ある種のビジネス的判断として「 SNS の炎上には静観の構えで嵐が過ぎ去るのを待つ」というスタンスは処世術としてアリと言えばアリなんですが、まあちょっと不誠実だなあとは思います。


誤解を招かぬよう言っておくと、私自身は某議員候補の漫画のファンでもなければ、彼が連載していた雑誌の購読者でもありません。

件の広告が炎上した漫画についても自分は読んだことがありません。

なので有り体に言えば、某議員候補についても件の作品や広告についても興味がないので門外漢である自分は特定の立場を取るつもりはありません。


ただ出版社に関して言えば、日頃からジェンダーに関する問題などを取り入れた社会派な作品を数多く刊行されていて密かに好感を抱いていたところだったので、リアルな話題に直面した際はこうした対応を取るのか、と少々残念ではあります。


私がこの話題について考えたことは以上です。


…と、ここまで書いといてなんですが。

既に何らかの声明を発していた場合はごめんなさい。

ただ自分で軽く調べた限りでは何も見つからなかったので。