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INCREDIBLE HULK EPIC COLLECTION: MAN OR MONSTER? (MARVEL, 1962 - )


Incredible Hulk Epic Collection: Man or Monster? (Epic Collection: Incredible Hulk)

  Hulk の初期作品集。

あらすじ

 天才的な頭脳を持つ Bruce Banner は軍のため新型ガンマ線爆弾を製造していたところ、偶然試験場に紛れ込んでしまった青年 Rick Jones を助けようとして誤って爆発に巻き込まれてしまう。運良く無傷で生還した Banner だったが、その晩彼は怪物のような巨人に変化してしまう。ここに1人の男の悲劇と冒険が始まる…。

廃刊を経ての進化

 今回取り上げるのはみんな大好き緑の怪力超人 Hulk 、彼のデビュー作をはじめとした初期の活躍が見られる合本。クリエイター陣も Stan Lee に Jack Kirby に Steve Ditko と、 Marvel のシルバーエイジの立役者が見事に揃っている。

  Hulk の月刊誌として有名な INCREDIBLE HULK 誌だが、意外なことに実は僅か6号で打ち切られている。どうやら Hulk に対する反響が届いてくるまでしばらくかかったとかで、その後その人気の高さに気付いた Stan Lee ら Marvel のスタッフは Hulk を FANTASTIC FOUR 誌や AVENGERS 誌などあちこちの誌面にメンバーあるいはゲストとして出演させることでその活躍を描くことになる。 
 今回紹介するこの合本などで刊行順に通してみると、他誌を渡り歩きながらも Hulk の一貫した物語が描かれていることがわかるだろう。
  Kirby や Lee がほぼ全ての作品に関わっていたからこそ可能だったのだろうと思うと同時、もしかすると Hulk がそれまでばらばらだった Marvel ユニバースを1つにまとめる役割を果たしたのかもとも感じた。


 現在の読者が常識だと思っているようなキャラクターの設定でも、登場初期にはだいぶ異なっていたというのはよくあることだが、 Hulk もその例外ではない。
 例えばHulkの変身に関して、 Bruce Banner が怒るなり興奮するなりした時に Hulk へ変身するという認識が今の一般的な認識だが、これが連載初期は日が暮れることが変身の条件となっている。その後、宇宙で放射能に晒されたり、ガンマ線放射装置で変身したりと2段階3段階踏んで現在のような形に収束していくのだ。興奮することで変身してしまうというパターンは今回の合本でも終盤においてようやく登場し、だがそれでもニュアンスが今とは若干異なる。

 また私自身も Hulk が『ジキル博士とハイド氏』の現代版として誕生したことは知識として知っていたものの、最近の誌面やMCUのイメージが強いため影響が強いため Hulk といえばどうしても”怪物”といった印象だったところ、今回の合本を読んでその認識を改められた。登場する初期の彼は成る程、かなりジキル博士にとってのハイド氏のような”怪人”といった性格で、短期ではあるが頭はそれほど悪くない。会話なんかは片言ではなく、結構流暢なのだ。

 なにせ50年以上前の作品ということもあって台詞がいちいち説明臭かったり、話がワンパターンに思えることもないではない。しかしそれを補って余りある発見ができることもまた事実だ。
  Marvel や Hulk のファンは一読する価値がある作品だと言えるだろう。

こんなひとにオススメ!

・ Marvel の歴史を知りたい

・ Hulk のデビュー時の活躍が読みたい




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