兵士としてのFrank Castle、再び。
The Punisher (2004-2008) #37 (The Punisher (2004-2009))
2年前、謎の襲撃者により基地1つを壊滅させられたロシア軍。事件の際に作戦本部で指揮を取っていた Nikolai Alexandrovich Zakharov 将軍はだがその後、事件の詳細を知りすぎているとしてアフガニスタンへ左遷されていた。しかし密かに独自の調査を続けていた彼はやがて元 CIA 工作員の Rawlins を通して襲撃者が Frank Castle a.k.a The Punisher であることを知り、報復に出るべく罠を張るが……。
Frank Castle を単なる過激なヴィジランテからシリアスな報復者へ変革させた(最近またおかしな方向へ行ってるみたいだけど) Garth Ennis による歴史的なランの続き。
前回ホワイトカラー(+化物1人)が相手だったのから打って変わり、今回はおそロシアの精鋭部隊がお相手。戦いの舞台も NY の裏街から遠く離れた中東へ移り、普段のブギーマン的存在とは異なる“兵士”としての Frank を見ることができる。
Frank がギャングやマフィアと決定的に違う点は相手がどこまで言っても訓練を受けていないチンピラなのに対して彼が徹頭徹尾戦闘マシンであるよう定められた兵士であることだ。引き金を引くこと以外に銃のことを何も知らないド素人がどれだけ集まろうとも、ベトナム戦争でゲリラ戦の経験を嫌というほど積んだ彼に敵う筈もなく。 S.W.A.T. なんかであれば多少マシな立ち回りをするあものの、人をある意味障害物と見做して行動する Frank には今ひとつ及ばない。
しかし、相手が同様に無慈悲になることができる人物である場合はどうか?
今回の話ではこれが大きな見どころの1つとなる。
ロシア軍の Zakharov 将軍はゲリラをあぶり出すためとあらば平気で赤子を崖から投げ捨て、銃弾の嵐を前にしながらも眉一つ動かさない豪傑である。冷徹さでいえば、あるいは Castle 以上かもしれない。
そんな2人は互いに相手を殲滅すべく権謀術数を巡らせる一方で、他者には理解できない共通理解のような雰囲気さえ漂う。結果として生き残るのはどちらかのみであるものの、その結末ははっきり勝敗が付いたものとはとても言うことができない。
これが戦場でのやり取りということなのだろう。
なお、今回のアークで Ennis によるランが始まって以来、最初のアークから登場していた人物は Frank 本人を除けば全員が死亡した。だが本巻の終焉に節目といったものは感じられない。彼の足許に広がる死屍累々を思えば、今更もう1人死んだところで大きな変わりはない。
だが、この人物が Frank の心に大きな影を落としたことを考えると — それを思うと彼女の死を偲ばずにはいられない。
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