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NEW X-MEN VOL.2 (MARVEL, #118 - 121, 2001 - 02)

 よーくページを見てみよう。


New X-Men (2001-2004) #118

 謎の存在 Cassandra Nova の手によりミュータント国家 Genosha で大虐殺が行われた後、世間に自らがミュータントであることを公表して恋人 Lilandra の治める Shi’ar 帝国へ静養に向かった Professor X 。留守を託された X-men だったが、ミュータントへの風当たりはいつにも増して強まる中、メンバーの1人 Beast も生徒の1人から謎の襲撃に遭い未だ意識の戻らぬ状態が続いていた。内外に杞憂を抱えつつ、 Cyclops と Emma Frost はミュータントの臓器を移植することでその特殊能力を手に入れようとするカルト集団 U-Men を壊滅させる任務に就く。だがそのリーダーである John Sublime は既に学園へ狙いを定めており……。

  Grant Morrison の手により原点回帰と新機軸の導入とが同時に達成された本作。だいぶ派手な幕開けとなった前巻と比較するとメンバーの行動が分散しているせいか、ややスケールの小さな印象は否めないものの、逆に連載初期の小気味よい活躍を現代風にアップデートしたような筋のためこれはこれで面白い。

 ミュータント能力と定義すればビームも時間旅行も何でもありな X-Men はやもするとヒーローかモンスターしかいないような状態になってしまう。そのため時々「こんな奴らが何だって差別されてるんだよ」と思ってしまうこともあるが、 Morrison のランはそんな突っ込みを逆手に取ったような答えを提示している。
 そのまず1つが臓器移植による能力獲得を目指す U-Men というカルト集団の存在。 Cyclops や Wolverine といった X-Men の面々が世界各国でスーパーヒーローとして活動していれば、当然ながらそれを利用とする存在もでてくる筈。しかし考えてみるとこれまで主だってそういうことをやってきたのは精々 Weapon X プログラムの連中くらい。ホワイトカラーのカルト集団というのはありそうでなかった。

 そしてもう1つが今回のランにおいて初めて登場する生徒達。彼らはミュータントではあっても必ずしも X-men のような戦闘向けではない能力の持ち主である場合が多く、鳥人のような容姿を備えていながら飛ぶことのできない Beak や無数の首の周りにあるいくつもの口で腹話術紛いのことをする Choir など、進化途中の奇形としてのミュータントである彼らの存在によって、これまでやや浮世離れした印象が否めなかった X-men の人種差別というテーマに現実味を与えている。

 最後にちょっとした小ネタをば。本巻#118などでアートを担当している Ethan Van Sciver 。実は彼、アートの中にちょっとした大人の遊びを忍ばせている。茂みの中や壁のラクガキ、Jeanの巻き髪などを注意深く見てみよう。ある3文字が浮かんでくる筈だ。


New X-Men (2001-2004) #119


New X-Men (2001-2004) #120


New X-Men (2001-2004) #121


New X-Men by Grant Morrison Ultimate Collection - Book 1