Abe Sapien の秘められた過去とは。
全米各地に広がりつつある人々の蛙人間化 — これに対応すべく B.P.R.D. は本拠を新たにコネティカットの旧軍施設へ移すと共に、とあるミッションで一度死亡した後、謎の蘇生を遂げた黄泉返り Benjamin Daimio を新たにフィールド・リーダーとしてチームに迎え入れる。急な体制変更に Liz ら他の隊員が戸惑いを隠しきれずいる頃、水棲人 Abe Sapien は自らの出自を探るべく部隊のフォークロア・コンサルタントである Kate Corrigan 教授と共にロードアイランド州に位置するとある港町を訪れていた。そこで彼が知った自身の出自とは……?
引き続き Hellboy が去った後の超常現象研究対策部隊 — 通称 B.P.R.D. の活躍を描くスピンオフシリーズ。4冊目となる今回は前回に引き続き謎の菌状生物によって人々の蛙人間化( Hellboy の方でこいつらは次の世界における人類の新たな姿だとかと語られてたっけ)の脅威を受け、拠点をコネティカットの旧米軍施設へ移すことになった彼らが巻き込まれる騒動を描く。蛙さん達は序盤にちらりと出てくるだけでほとんど出番はないものの、ご安心を。キモいクリーチャーはちゃんと今回も出てきます(というか蛙たちよかよっぽどキモい。一応天使だとか)。他にもこれまで学者とオカルティック能力者達のパッチワーク・チームという印象だったところへ生粋の軍人である Daimio (これ日本語読みするとダイミョーなんだろうか)なんかも加わり、少しずつ超常現象”部隊”らしくなってきたなという感じ。
クリエイター陣的な話をすると今回からライティングに John Arcudi が参加。一応 Mike Mignola と共著という形をとっているものの、解説によると Mignola と話し合ったあらすじを元に Arcudi が実際の脚本を執筆するというスタイルになっているため、 Mignola は監修に立場を移し、スピンオフシリーズはひとまず新たなライターの手に託されたと考えても良いかと。
また、再び中身の話に戻ると、チームが基地の封鎖機関でグロい蟲型天使ちゃんとドカスカやっている一方、前回過去を垣間見た Abe が遂に自らの出自を全て知ることになるという意味で1つの大きな節目を迎える。
この辺りの話は、その後彼に起こった一夜の怪異譚的な展開も含めて Mignola 節がかなり利いているのでだいぶ前から練られていた話なんだろうなという気がしなくもない。
そんなわけで各々のメンバーにもドラマがあった一方、ホラーアクションとしての魅力も忘れていない本巻も大満足な1冊でした。