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DOOM PATROL VOL.1: BRICK BY BRICK (DC/YOUNG ANIMAL, 2016-17, #1-6)

 世界で最も奇妙なチームの新たなる冒険!


Doom Patrol Vol. 1: Brick by Brick DOOM PATROL VOL 1 BRICK BY BRI (Young Animal) [ Gerard Way ]

 救急車の運転手として街を駆け人々を救う Casey Brinke はある日、不可解な出動依頼を受けて指定された場所へやって来たところ、弱り果てていた Cliff Steele a.k.a Robotman の姿を見つける。だが直後トラックに轢かれてばらばらになってしまった彼の体をかき集めて自分の部屋に持ち帰った Casey は、そこで新たなルームメイト Terry None と出会う。一方その頃、とある会議室では別銀河のビジネスマンらが自分達の経営するファストフード店で使用する食用肉の新たな生産元について話し合っていた……。

  REBIRTH を経て DC のメインユニバースがやや伝統回帰する一方、そちらの世界と微妙にオーバーラップしながらも、だが独自の路線を突き進む新規レーベル YOUNG ANIMAL 。元 My Chemical Romance のボーカルであり、コミッククリエイターとしても UMBRELLA ACADEMY などヒット作品を発表し続けている Gerard Way を責任編集者に迎え、かつての VERTIGO のようにこれまでリンボ入りしていたキャラクター達に新たな息吹を与えている現在注目のレーベルである。
 本作 DOOM PATROL はその YOUNG ANIMAL の筆頭タイトルともいうべき作品であり、かつて Grant Morrison が VERTIGO で連載していた同チームの活躍を Way が新たに描いた後継作とも言うべき新シリーズ。正直、 Morrison 時代を知らないとやや話がわかりにくいかもしれないが、それさえ乗り越えられれば完成度はかなり高いと言える。
  Morrison が紡ぎ出した雰囲気を現代風にアップデートしたようなアトモスフィアが漂う本作には、これまで見たことのないアイデアが次から次へと登場し、一瞬も息を吐かせぬストーリーとなっている他、またキャラクターに関しても旧来のメンバーだった Cliff Steele a.k.a Robotman や Larry Trainor a.k.a Negative Man はもちろんのこと、新キャラの Casey やまだどう活躍するのかわからない Terry None まで魅力的なキャラクターにあふれている。キモカワマスコットの Fugg 君もすごくカワイイ。

 もちろん本作の魅力は Way のライティングに拠るだけでなく、 Nick Derington のややカートゥーン調のペンシルや Tamra Bonvillain による明るい感じのアートもあって初めて成り立っているものだ。確か本作のアートには当初 Becky Cloonan が予定されていたものの、今や売れっ子となり多忙になった彼女に代わって Derington が就いたという経緯だったと覚えているが(本シリーズのカバーのいくつかを Cloonan が手がけているあたりにその名残が伺える)、結果としてベストマッチだったかと思われる。勿論、そのうち Cloonan がゲストアーティストとしてでもインテリアをやってくれたならそれはそれで万々歳だけど。

 ちなみに#4のカバーは一見明るい雰囲気の絵だが、意味がわかるととんでもなく不気味になる。

 この奇天烈な面々によって構成される摩訶不思議なチームが今後どのような活躍を見せてくるのか、今から期待が高まる。


Doom Patrol Vol. 1: Brick by Brick (Young Animal)