これはとある11月の物語。
その1つ目の物語。
November Book One (English Edition)
毎朝朝刊に掲載される暗号を解読し、その答えをビルの屋上からラジオ放送する -- そんな仕事を破格の日給で引き受けたディー。
依頼主の素性も、その行為の目的もわからないまま、彼女は同じことを繰り返す。
怠惰な日常と持て余した金で自暴自棄になる彼女だったが、”その日”は突然訪れる。
銃の持ち主と、発見者と、通報を受けた者と。
ある日、3人の女性が1つの闇に巻き込まれていく。
これはとある11月の物語。
その1つ目の物語。
HAWKEYE や SEX CRIMINALS のライターであるマット・フラクションが、新進気鋭の絵師エルサ・シャルティエらと共に送るネオ・ノワール。シリーズは全3冊を予定しており、本巻はその1冊目。
フラクションの妻であり、自身もライターとして有名なケリー・スー・デコニックが子供と一緒に近所の茂みを散策していたところ、少し前まで近所に潜伏していた逃亡犯の拳銃を発見したことから着想を得たという。
現時点ではまだ導入といったところで話の全容が見えにくく、まだちゃんとした評価は下せないものの、雰囲気的には好印象。
都会の夜の空気感や、登場人物達の纏うヒリヒリした緊張がページ越しに伝わってくる。
フラクションの持ち味であるカジュアルな会話と上手に挿入されるモノローグが物語のテンポをコントロール。シャルティエのアートは太い線ながら細やかな情動を的確に描き出している。
今後どう飛躍し、着地するのか。続く2巻が待ち遠しい作品だ。
過去にレビューしたマット・フラクションの作品