VISUAL BULLETS

アメコミをはじめとした海外コミックの作品紹介や感想記事などをお届け

LEAP OF FAITH 2021/4/12

週刊コラム『 LEAP OF FAITH 』リターンズ。

今確認したところ最後にやったのが2018年の6月だったのでおよそ3年ぶりとなります。

久々なのでこのコラムを見るのが初めてという方も多いと思うので簡単に説明すると、この『 LEAP OF FAITH 』というコラムはその週に発売される新作コミックの中から気になるものをピックアップして(独断と偏見に基づいて)紹介する企画です。

今回は久しぶりということもあるので新作9作品を厳選しました。
では早速。

(以下、タイトルのリンクは出版社の作品紹介ページに飛びます)

JENNY ZERO #1 (DARK HORSE)
怪獣から世界を救ったヒーローの娘にして自身もかつてトップクラスの怪獣キラーだった女性。
落ちぶれていた彼女が再び襲来する脅威に立ち向かうべく再起を図る。

先日紹介した JUPITER'S LEGACY などと同じ、いわゆる次世代ヒーロー系作品ですね。
MCU などでいわゆる第1世代のヒーローの時代が一段落したからでしょうか。最近は業界全体がこの手の作品を増やしている印象があります。

ストーリーやカバーに描かれている主人公のスーツなどを見る限り、ウルトラマンにインスパイアされている模様。ただクリエイターの過去作などにユーモア系作品が含まれているんで、同様に円谷からインスパイアされている ULTRAMEGA などよりは明るい作風になりそう。


BATMAN THE DETECTIVE #1 ( DC )
英国で起こった事件を捜査するためバットマンがヨーロッパへ赴き”エクィリブリアム(均衡?)”と名乗る新たなヴィランに立ち向かう。

トム・テイラー。アンディ・キュバート。バットマン。
まあ、外れようがないと言いますか。当たりか大当たりしかないので買って損はないと思います。

あと、カバーに描かれているジャケットにゴーグルという出で立ちがタイミング的になんとなく実写版ジャスティス・リーグに登場した未来のバットマンを連想させるんですが、何か関係があるんですかね(スナイダーズカットってもう日本でも配信されてるんでしたっけ)。


LOCKE & KEY SANDMAN: HELL & GONE #1 ( DC/IDW )
お互いにファンタジー系コミックの傑作として知られる2作のクロスオーバー作品。
地獄に堕ちてしまった兄からメッセージを受け取ったロック家の少女は彼の魂を救うべくハウス・オブ・ミステリーへ向かう。

ファンタジー界のビッグネーム2人によるそれぞれの代表作の共演。正直、往年の DnA とかのように普段からタッグを組んでいるライターチームとかでない限り、脚本を複数で書いてるパターンってあんまり期待できないんですが、この2人ならあるいは、と思わせる凄みがあります。


HOME #1 ( IMAGE )
国境を越えようとしたところ母親と離れ離れになってしまった少年。
母を探しているうち、そんな彼の体に異変が起こる・・・。

スーパーパワーを移民の視点から描いた社会派作品です。

この手の社会派的な要素を含む場合はフィクションとノンフィクションの親和性というか、この場合だと移民問題とスーパーパワーという2つがどんな化学反応を起こすかでだいぶ印象が変わってくるイメージ。
ライターアーティスト共に本作がプロデビュー作品というので前評判がなく判断がし辛いものの、純粋にどう調理するのかなという興味で手にとってみたくなります。


DARKHAWK HEART OF THE HAWK #1 ( MARVEL )
ファンの間でカルト的人気を誇る90年代のスーパーヒーロー、ダークホーク。
彼の生誕30周年を記念して刊行されるワンショット。いくつかの短編が収録されている模様。

ヴェノムなどのヒットがきっかけとなったのか、ダークホーク含め80年代後半から90年代生まれのキャラクターはここ数年で再び注目を浴びるようになった気がします。

今回のようなワンショットでは短編ながら(というかだからこそ)粒揃いだったり、あるいは密かに計画されている連載のプロローグがあったりする場合もあるので少しでも気になる方は要チェック。
ライターにダン・アブネットやカイル・ヒギンズといった人気クリエイターも参加しているのでそのファンも是非。


SPIDER-MAN SPIDER’S SHADOW #1 ( MARVEL )
マーベルの「もしも」を描く名物アンソロジー WHAT IF...? の系譜を継ぐ新ミニシリーズ。
「もしもピーター・パーカーが共生体スーツを身に着け続けていたら・・・」という設定でスパイダーマンのその後が描かれるとか。

ライターは以前にもスピンオフタイトルでスパイダーマンを手がけたことのあるチップ・ズダースキー。

先日始まった NON-STOP といい、マーベルはスパイダーマン系作品に最近力をいれている印象があります。
本作も期待大。


DUPLICANT #1
新作 SF スリラー。疫病が蔓延する中。臓器のコピーを作り出すことに成功した科学者が陰謀に巻き込まれる。

ネタ自体は結構きになるものの、いわゆる政治とカネの話になるのか、それとも臓器が異形化するようなホラー路線になるのかで作風がだいぶ変わりそう。

調べたところ、元々はキックスターターで刊行にこぎつけた作品で既に #4 あたりまで出回っているようです。
かなり高く評価する言葉もちらほら。


LOCUST #1 ( SCOUT COMICS )
疫病により人々が巨大なイナゴと化すようになってしまった世界を舞台に、漁師とその年老いた母親がニューヨークからの脱出を試みる。

イナゴ、イナゴかー!めっちゃ気になる!
あれですよね、等身大のイナゴが人間を頭からナムナムする話ですよね。
それでエスケープ・フロム・ニューヨークなんですよね。

「元軍人と子供」みたいなベタな組み合わせではなく「漁師と母親」とかにするあたりにもクリエイターのこだわりを感じます。

こういう自分の気になるものをふんだんに詰め込んだような作品って仕上がりがあらっぽくなりがちだけれど好きです。というか清々しいくらいにやっちまってほしい。

あー、しかも公式サイト覗いたらめっちゃアート好み!
えー、何カルトも出てくるのかー!?わー!


PHANTOM ON THE SCAN #1 ( AfterShock )
謎の隕石の墜落より20年。
超人的な力と引き換えに死期が近づく1人の男性が、他の能力者らと隕石の謎に迫る。

精力的に活動しあらゆるジャンルの作品を発表し続けるカレン・ブンによる最新作。
アートを手がけるのは2018年に COLD SPOTS でも組んだマーク・トーレス。

実はカレン・ブンの作品ってほとんど読んだことがありません・・・。
でも、ちょっと気になるネタだしトーレスの絵柄好みだし、これを機に手にとってみようかな。


以上、今週の気になる9作品でした。他にも今週はメンバーにハルクリングやドクター・ドゥーム(!?)が加わったガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの新しい門出となる GUARDIANS OF THE GALAXY #13 をはじめとした数多くの新作コミックが刊行されます。

気になる作品は是非是非チェックしてみて下さい。

それでは本日も良いコミックライフを!