Gwenpool, the Unbelievable Vol. 1: Believe It (The Unbelievable Gwenpool)
*用意していた記事が諸事情によりボツとなってしまったので、本日ははるか昔に書いたまま未公開だったレビューをお届けします。
(いや、昨日マーベルに関してアレな記事上げといて今日これアップするのもどうかと思わなかったでもないんですけどね……)
あらすじ
ある日、ハワード・ザ・ダックの探偵事務所を訪れたブラックキャットことフェリシア・ハーディ。ピンクの衣装に身を包んだ謎の襲撃者により大切な品を奪われたという彼女はハワードにその回収を依頼する。この世界が全てコミックの中の出来事だと主張して気ままに暴れ回る彼女、”グウェンプール”の正体とは?
感想
記憶が正しければスパイダーグウェンが流行ってた時にそのノリでマーベルが色んなヒーローと今は亡きピーターの元カノ、グウェン・ステーシーを混ぜてヴァリアント・カバー量産した際に生まれたんじゃなかったか。まあ、昔からデッドプールとスパイダーマンってやたら似てるってネタにされてたし。
結果として見事読者の心を掴んで化けたというか。
肝心の中身に関しては良い意味で期待を裏切られたというべきか。
Character Driven(キャラクター主導)という言葉が本作ほど的を射ている作品もそうそうあるまい。グウェンプール(少なくとも本巻ではスパイダーマンにもデッドプールにも全く絡む気配がないので間口は広いかと)の天真爛漫で自由奔放な言動がぐいぐいストーリーを引っ張っている。
本編のアートを担当するグリヒルらのアートによる貢献も大きい。日本の漫画調ともアメリカン・コミック調とも異なる独自の絵柄で描き出されるグウェンプールの活躍はキュートでポップなことはもちろん、暗い展開にさえ明るいユーモアをもたらす魅力に満ちている。
ただ一方でデッドプールを意識しているのかイカれた言動をするもののその理由が単に「コミックの世界にやって来た読者という設定」というだけではやや説得力に欠けている他(オリジンが本巻では語られていないので後々もう少し説明があるのかも)、そのイカれ具合にしても本家ほど振りきれてはおらず、不完全燃焼な感じがしないでもなかった。
またコメディ要素にしてもメタ発言を否定するつもりはないものの、そればかりだと流石に萎える。絵に引っ張って貰っている節もあるのでその辺りは今後の発展に期待してみたい。
単なる一発ネタかと思われていたキャラクターが大躍進。だがグウェンプールのポテンシャルが本当に問われるのは今後だろう。続刊が既にかなり出ていることから今後良くなっていくものと思われるので引き続き読んでいこうかと。