2018年に公開された『ヴェノム』の続編『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の予告が先日公開されました。
正直カーネイジについてはもうあちこちで書かれてるし、今更キャラ紹介みたいなここでやらんでもいいかなーと思ってスルーしてたんですが、折角だし他では語られてない舞台裏ネタを中心にいくつか豆知識的なものをまとめた記事を書いてみることにしました。
誕生の理由
そもそもカーネイジというキャラクターは何故生まれたのか?
理由はもちろんヴェノムです。
実のところ、THE AMAZING SPIDER-MAN #300 にてデビューしたエディ・ブロックことヴェノムというキャラクターは当初短命に終わるはずのキャラクターでした。
ヴェノムやカーネイジを考案した1人であるライターのデヴィッド・ミクライニーが93年に刊行した単行本 SPIDER-MAN: CARNAGE に寄せた序文によると、当初エディ・ブロックは #400 で命を落とし、共生体は様々な人物を渡り歩いた後、新たな人物と新ヴェノムになる予定だったそう。
ところがヴェノムの人気は予想に反してうなぎのぼり。
「これはマーベルが手放さないな・・・」
そう考えた彼はそこで新たな共生体キャラクターを考案するに至ります。
ミクライニーの序文はこちらの単行本にも再録されています。
名前と容姿
そうはいうものの、この新キャラを生み出すのも一筋縄ではいきませんでした。
再びミクライニーの記述によると、当初この新キャラクターの名前は”ケイオス( CHAOS )”で行く予定だったそう。
ところが、他社で同名のキャラクターが登場してしまいボツに(名指しはされていないものの”ライバル社”という言及や登場時期などから DC の NEW TEEN TITANS ANNUAL #7 に登場した”ロード・ケイオス”?)。
続いて出されたのは”ラヴェッジ( RAVAGE )”という案でしたが、こちらもボツ。
他ならぬマーベル、しかもスタン・リーが考案に関わっているキャラクターによる新シリーズ RAVAGE 2099 という企画が進行中だったためです。
最終的に編集者のエリック・ファインが出した”カーネイジ”という案が採用されるに至りました。
今回の予告編でやたら”ケイオス”という単語が出てくるのはこのへんを意識してのことかもしれません。
また、容姿についても当初ミクライニーは見る度に見た目が変わるようなマルチカラーのデザインを想定していたそう。
ですが、アーティストにしてみればそのような統一性のないデザインを描くのはかなりきつい!
そこでアーティストのマーク・バグリーは赤に黒を混ぜることによってデザインをある程度統一しつつ、ミクライニーが想定していたような不安定性をも備える姿を考案するに至りました。
クリタス・カサディ
新たに共生体を身に着け”カーネイジ”に変身する連続殺人犯クリタス・カサディ。
その猟奇性や残忍さなどから「あれ、こいつ DC のジョーカーっぽいぞ?」と思った方も少なくないかと思います。
この2人が後にバットマンとスパイダーマンのクロスオーバー作品 SPIDER-MAN AND BATMAN: DISORDERED MINDS で共演するということは知られています。
しかし、キャサディ自身ジョーカーの容姿をモデルとしていることはあまり知られていません。
彼をデザインしたのはアーティストのエリック・ラーセン(カーネイジをデザインしたマーク・バグリーと間違えられがちですが、カサディを最初に描いたのはこちら)。
彼が後年イメージの掲示板でファンからの質問に答えたところによるとクリタス・カサディの容姿はジョーカーをベースに、肌や髪の色を変えただけだとか。
言われてみればかなり似てます。
弱点
カーネイジやヴェノムの弱点としては音や熱といったものが多く挙げられます。
が、実はあまり知られていない弱点が1つ。
それはビタミンC。
共生体と宿主の融合は脳内の化学物質と大きく関わっています。
そこで体内にビタミンCを大量に投与すると、一時的にではありますが共生体と宿主の結合を弱らせることが可能です。
スパイダーマンなどのヒーローはあまり使わないので知られていないものの、カーネイジを収容したレイヴンクロフトで彼を尋問する際に用意されました。
ただ、こうした共生体の弱点については近年どんどん克服してる場合も多いのでビタミンCも今では無力かもしれません。
ヒューマントーチ
これは豆知識ではないんですが、日本語のカーネイジに関する解説サイトを見ていると「カーネイジとの初めての戦闘でスパイダーマンはヴェノムやヒューマントーチの助けを得ることでようやく倒すことができた」といった記述を結構な頻度で見かけたので。
気になって作品を読み直して見たんですが、これは誤りですね。
おそらくカーネイジ初登場のエピソードで何度か登場シーンがあるのと、共生体の弱点が熱であることなどから誰かが誤解した記述が広まったものと思われますが、スパイダーマンはヴェノムとのみ共闘しカーネイジを倒しています。
強いていうなら共生体に音波攻撃する際、ミスター・ファンタスティックの装置を再現するため「昔ジョニーに教えてもらった」周波数に合わせたくらい。
戦闘そのものについてはむしろ「被害が大きくなるから」という理由でファンタスティック・フォーには待機してもらってます。
以上、カーネイジに関する豆知識でした。
それでは本日もよいコミックライフを。