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実写化で話題の黒人スーパーマンって誰?というかどれ!?候補となる6人を紹介!

今年始めにJ.J.エイブラムスとタナハシ・コーツの手で実写化されると報じられてからにわかに話題となった黒人のスーパーマン

後にマイケル・B・ジョーダンが監督だか主演だかの候補に上がっていると報じられ、ここ数日も DCEU に含むとか含まないとかで盛り上がっています。


さて、”黒人のスーパーマン”という記事を目にして面食らった方も結構いるようです。

ネットニュースや SNS に書かれたコメントでも賛否両論の意見が見受けられます。

中にはこれを”ポリコレ”だと称して批判するものも。

いやいやいやいや。

確かに我々のよく知るスーパーマンといえば白人ですが、だからといって”黒人のスーパーマン”がいないわけではありません。


多くの方がご存知のとおり、 DC コミックスには”マルチバース”という並行世界の概念があります。

そしてそこには我々の知るマン・オブ・スティールとは別の”黒人スーパーマン”が少なからずいるからです。

今回は映画に登場するのではないかと噂されているキャラクターを中心に”黒人のスーパーマン”を何人か紹介してみたいと思います。

カルビン・エリス(アース23)

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ACTION COMICS #9, Grant Morrison, Gene Ha et al, DC COMICS

実写版に登場する”黒人スーパーマン”の最有力候補として挙げられているのがカルビン・エリス

FINAL CRISIS #7で初登場した彼は、我々のよく知る”アース0”と似て非なる並行世界”アース23”のスーパーマンです。

ただし具体的なオリジンや”カルビン・エリス”という名は ACTION COMICS #9 で初めて判明します。

実は惑星クリプトンには、他の社会と距離を置いて発展してきた”ヴァスロ島”という黒人系クリプトン人を中心に構成された場所があります( MCU でいうところのワカンダをイメージしていただければ)。

”アース23”のヴァスロ島に住むジョレルとララという夫婦はクリプトンが崩壊する際、生まれたばかりの息子カレルを宇宙船に乗せて避難させました。

ちなみにアース23のカレルや彼の両親の名前はアース0のカル・エルや彼の両親らと違い名前にハイフンがなく、Kal−El(アース0)に対してKalel(アース23)といった具合です。


さて、地球にやってきた彼は貧しくも優しい黒人夫婦に拾われ、カルビン・エリスとして育てられることに。

成長した彼は真実・正義・自由そして平等のために”スーパーマン”という名で活動を始めます。


カルビン・エリスの生みの親の1人、グラント・モリスンによるとカルビン・エリスは当時米国大統領だったバラク・オバマ元大統領からインスパイアされているそう。

作中でもカルビン・エリスとしても政界進出を果たし、やがて米国大統領の座に上り詰めます。

また、もう1人のモデルとしてボクサー界の伝説モハメド・アリの名も挙がっており、カルビンも基本的な身体能力は我々のよく知るスーパーマンと変わりませんが、彼はそれに加えてボクシングの素養があります。

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ACTION COMICS #9, Grant Morrison, Gene Ha, DC COMICS

カルビンは”アース0”のスーパーマンと負けず劣らずの強く優しい心を持っており、多くのスーパーヒーローをインスパイアしてきました。

現在は自らの世界のジャスティス・リーグを率いる他、キャプテン・キャロットなど並行世界を跨るヒーロー達から構成されるジャスティス・リーグ・インカーネートでも中心的役割を担っています。


ちなみにカルビン・エリスという名前ですが、元はアラン・ムーアやリック・ヴィーチらが85年に手がけた DC COMICS PRESENTS #85 でクラーク・ケントが使った偽名に由来しているとか。

ヴァル・ゾッド(アース2)

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EARTH 2 #25, Andy Kubert, Alex Sinclair et al, DC COMICS

カルビン・エリスと並び実写化候補として取り沙汰されるのがヴァル・ゾッド

名前からわかるとおり、彼は我々のよく知るスーパーマンの宿敵であるゾッド将軍の息子です。

ただし、ヴァル・ゾッドもまた”アース0”と似て非なる並行世界”アース2”の出身ですが。


”アース2”におけるゾッド将軍はそれほど悪人ではなく、むしろスーパーマンの父親ジョー・エルのように惑星クリプトンの危機を訴える人物でした。

しかし、権力者からはそれを反逆者の妄言として受け取られてしまい、夫婦ともに収監されてしまいます。

残された息子のヴァルはエル家に保護され、後に母星崩壊の際にカル・エルを始めとした3人のクリプトン人と同様に宇宙船に乗せられ危機を逃れます。


さて地球にやってきたヴァルですが、ケント夫妻に発見されたカル・エルと異なり、彼を発見したのはテリー・スローンという人物。

スローンは天才的な科学者であると同時に、”アース2”の地球へ侵攻する惑星アポカリプスの軍勢に立ち向かう防衛軍の中心人物でもあります(”アース0”では初代ミスターテリフィック)。

スローンによって保護(という名の隔離)されたヴァルは長らくアーカムの地下施設にある小部屋に幽閉されてしまいました(ただし本人に自覚なし)。


やがて”アース2”のヒーロー達によって救出された彼ですが、当初は初めての外気や黄色い太陽に戸惑い、戦うことにも躊躇いがち。

しかし、レッド・トルネード(ロイス・レーンの精神を搭載)やジミー・オルセンらの説得により、洗脳されアポカリプスの尖兵となったカル・エルと戦う決意を固めました。

偽カル・エルとの戦いに勝利したヴァルは以来、”アース2”の新たなスーパーマンとして活動しています。


ちなみにライターのトム・テイラーとアーティストのニコラ・スコットは EARTH-2 でヴァル・ゾッドをデビューさせる際、マイケル・B・ジョーダンの話をしていたとか(インスパイアしたかは不明)・・・。

ツイートの画像は上のカバーアートを参考にファンが作ったと思われるイメージ画像ですが、確かに青いコスチュームや白いロゴが似合いますね。


サンシャイン・スーパーマン(アース47)

このスーパーマンは ANIMAL MAN #23 に登場したマルチバースのスーパーマンの1人です。



ヒッピー文化を彷彿とさせるこの世界では、永遠の青年大統領プレズからのバックアップを受ける”ラヴ・シンジケート”というチームが活躍しており、スーパーマンもアフロヘアに黄色を含むコスチュームなどそれっぽい出で立ちです。

クライシス( CRISIS ON INFINITE EARTHS )事件により世界が崩壊してしまった際、このスーパーマンも消滅してしまいましたが、事件前の記憶を保持していたサイコ・パイレートの力で一時的に復活( ANIMAL MAN #23 )。


後にインフィニット・クライシス事件を経てマルチバースが再誕すると"アース47"、そしてその世界のスーパーマンとして復活を果たしました。

FINAL CRISIS にもカルビンらと共にちらっと登場します。

カル・エル(アースD)

このスーパーマンもサンシャイン・スーパーマン同様、クライシス事件により失われてしまった世界のスーパーマンです。

LEGENDS OF THE DC UNIVERSE: CRISIS ON INFINITE EARTHS という作品に登場したこのスーパーマンは、クライシス事件に際し、迫り来る危機のことを告げようと30世紀から過去に遡ってきたバリー・アレンが途中で立ち寄った”アースD”という世界の人物。

”アースD”は我々のよく知る世界より多様性に富んでおり、スーパーマンも黒人である他、フラッシュが日系だったり、グリーン・アローがネイティブ・アメリカンだったりします。

ジャスティス・アライアンス・オブ・アメリカの一員であるこの世界のスーパーマンは、アンチ・モニターの手先であるシャドウ・デーモン達の襲撃中、妻のカラを庇って命を落としてしまいます。

ちなみにこの”アースD”の D は DIVERSITY (多様性)を表し、ライターのマーヴ・ウルフマンがクライシス後に思い描いていた DC ユニバースの新たな姿に着想を得てるという噂も。

以下の単行本に収録されています。

ハーヴェイ・デント(アース9)

社会全体が超人の出現に大きく影響を受けた”タンジェント・ユニバース”と呼ばれる世界のスーパーマン。

名前こそ同じであるものの容姿や能力などが似通っている他の並行世界版と異なり、このスーパーマンは我々の知る存在とはかなり異なる人物です。


この世界のハーヴェイ・デントという(アース0のトゥーフェイスと同姓同名の)人物は、ビルから落下した衝撃がきっかけでテレパシーやテレキネシスといった驚異的な能力を発揮するようになります。

実はこの世界ではニューオーリンズのとある町で政府組織が秘密裏に超人化薬を住民に投与した過去があり、彼はその唯一の生存者だったのです。


スーパーマン(SuperMan)という名前で活動し始めたハーヴェイですが、彼は必ずしも善人ではなく単純に問題を解決するのが好きというだけです。

故に後々自ら地球の支配者となり、世界を自分の理想の形にしようと試みます。


このスーパーマンはジェリー・シーゲルジョー・シャスター ACTION COMICS でクラーク・ケントを生み出す前に作った THE REIGN OF SUPERMAN という短編小説にインスパイアされているといわれています。


後にマルチバースが復活した際にはこの世界も”アース9”であることが判明しました。

ちなみにこの世界では我々の知るスーパーマンに近いポジションとして”アトム”というヒーローがいます。

ジョン・ヘンリー・アイアンズ(アース0)

他とはややニュアンスが異なるかもしれませんが、ジョン・ヘンリー・アイアンズも黒人スーパーマンの1人として数えて良いでしょう。

優秀な開発者だったジョン・ヘンリー・アイアンズは、かつてスーパーマンに命を救われました

後にドゥームズデイとの戦闘でスーパーマンが一時死亡した(と思われていた)際、彼は自製のアーマーを着込み、後継者の1人としてヒーロー活動をはじめます。

全身を鋼鉄で覆い、ハンマーを手に戦い、後にカル・エルが復活すると新たに”スティール”と名乗るようになりました。


自身で”スーパーマン”を名乗ったことはないものの、その出で立ちから”マン・オブ・スティール”と世間から称され、現在のコードネームもこれに由来しています。

ナターシャという姪がおり、彼女も同じようなアーマーを着込んで戦います。


ちなみにスティールは97年に実写化されています。





以上、代表的な黒人スーパーマンでした。

こうして見ると案外バリエーションが豊富ですね。

興味が湧いた方はまずカルビン・エリスが登場する ACTION COMICS #9 などが読みやすいので是非読んで見て下さい。


最後に、 SNS などを見ていると”黒人スーパーマン”という見出しに過剰反応している方もいますが、”スーパーマン”という称号は何もクラーク・ケントに限定したものではありません。

個人的には無理のないストーリーでやってくれるのであれば、多少の変化も(黒人のクラーク・ケントというのも含めて)アリだと思っています。

みなさんも是非広い心で黒人スーパーマンの活躍を心待ちにしてみて下さい。


それでは本日も良いコミックライフを。

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