例の発掘したアート・スピーグルマンの作品。
思った以上に攻めた内容だったというか。
「ああ、 MAUS の技術を風刺に全振りするとこうも攻撃力のある内容になるのかー」と納得。
MAUS においては父親から伝え聞いた話が中心だったぶん抑えられていた(ものの現代編でちらついていた)部分ががっつり出ていた感じ。
本書の前半に収録されているのは2001年の同時多発テロ当時ニューヨークにいたスピーグルマンが2002年から04年にかけてドイツの新聞 DIE ZEIT で連載したもの。
各ページパンフレット風コミックの体裁を取っており、サイズが大きく、本を横向きにして見開きで眺める感じになります。
連載時期における米国の熱狂ぶりは自分もそこそこ覚えていますが、あの当時に政治を名指しで批判するというだけでも相当な行為だった思われ、それをこうもグロテスクとさえ思える形でやってのけてしまうのは流石です(だから米国でなくドイツの新聞での連載だったのかな、と邪推)。
ピューリッツァーとか獲ってて忘れがちですが、そういやこの人アングラ・コミックス (COMIX) 出身でしたね。
攻める攻める。
劇物みたいな本です。
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