ジャック・カービィがマーベルで生み出したアズガルドの世界観と DC で生み出したフォース・ワールドの世界観が地続きであることは以前どこかで解説したと思うんですが、記憶違いか過去記事を消してしまったか見つからないんで書き直し。
62年の JOURNEY INTO MYSTERY #83 でジャック・カービィ、スタン・リー、ラリー・リーバーの手により現代に蘇った雷神ソーですが実は初期の物語だとあまり北欧神話が絡まず、こうした要素が本格的に持ち込まれるようになったのは同誌 #97 から巻末で連載開始された "TALES OF ASGARD"というバックアップからだと言われています。
カービィはここで北欧神話をベースにしたソーやロキの過去話や裏話を展開し、それに影響されるようにして本編の方にも徐々に神話要素が浸透してきたとか。
さて、 JOURNEY INTO MYSTERY は #126 を持って THOR に改題するわけですが、続く #127 と #128 のバックアップにおいてカービィは予言されしアズガルドの神々の最期ラグナロクを描き、その終盤に新時代の神々をちょろっと描きます。
これがフォース・ワールドひいてはニューゴッズの元になる連中と言われています。
構想を練った上で然るべきタイミングでデビューさせようと考えていたようですが、(大人の事情により)カービィはマーベルを離れ DC へ移籍。
そこでニューゴッズの物語を新たに描くことになります。
そんなわけでカービィの頭の中ではニューゴッズはアズガルドの神々がラグナロクで滅んだ後に始まる話となっており、NEW GODS #1 は(明言こそしないものの)ラグナロクを再現したオールドゴッズ(古き神々=アズガルドの連中)のエピローグから始まります。
そのことを象徴するのが FOREVER PEOPLE #5 の1シーン。
惑星ジェネシスでニューゴッズの1人がオールドゴッズの遺跡を徘徊するんですが、そこでソーの兜を手に取ります。
こうしたカービィの裏設定はファンの間では割と古くから知られており、昨日述べたウォルター・サイモンソンの ORION でもこれを示唆するかのごとく#7でバックルに”T”の文字が入ったメギンギョルズ(魔改造版)が登場します。
かつて DC とマーベルが合体したアマルガムコミックスでソーとオライオンが合体して”ソライオン”になったのもこのあたりを意識してなのかも。
多分ニューゴッズ関連作を探せば他にもそれっぽいイースターエッグ転がってそうなのでちょっと意識しながら読んでみると面白いかと思います。
世界観が繋がっていることとは関係ないんですが、同じ”死の兆し”を象徴する存在としてマーベルでは素っ裸のサーファーを、 DC では逆に重武装したスキーヤーを描いたのはちょっと好き。
ここらへんのこと、ネットで既にいろんな人が書いてますが一番詳しく書いてあるのはやはりブライアン・クローニンによるこちらの CBR の記事だと思います。