昨日の記事で言及した HOOK JAW をば紹介。
おさらいすると、本作は”過激さ”をウリにしていた英国のアンソロジー週刊コミック誌 ACTION にて連載されていた作品。
レベリオン社から刊行された本書 CLASSIC COLLECTION に収録されているのは過去作を集めたものです(最近になって新作が作られているようなのでそちらと混同しないよう注意)。
原案は ACTION そのものの創刊にも携わり、数多くの英国コミックを生み出したライターのパット・ミルズ。
実際の脚本はケン・アームストロングが手掛け、ラモーン・ソラら複数のアーティストが作画を手掛けていました。
ちなみにソラは本作以前、ミルズと共に女児向けの SUGAR JONES という作品を手掛けていたそうで作風の振り幅に驚かされます。
実際の内容についてですが、本作はあれです。
シーンに合わせてストーリーを作るパターンのヤツ。
ミルズによるまえがきでも書かれていますが本作は「週に1度はサメが人を殺す」というルールだけを設けており、それに合わせる形でストーリーが形作られていたそう。
「いかにサメが残酷に人を殺すか」というのが焦点で、有り体に言うと他の人間ドラマとかは背景に過ぎません。
なのであらすじもへったくれもなく。
タイトルの”フック・ジョー(顎に突き刺された銛の先端が下顎から突き出ているためそう呼ばれている)”と呼ばれる巨大ザメがとにかく人を襲撃するという話です。
一応、人間側にも継続して登場する狂言回しの役もいるにはいますが、主人公は基本”フック・ジョー”。
老若男女が次から次へとぱっくんちょされます。
唯一の救いとなっているのはほんのりと”環境問題”がテーマになっているため、襲撃対象は「海底油田で一攫千金を狙う強欲親父」みたいなのがメインなことか(普通に子供とかも喰われますが)。
捕食シーンはかなり直接的な描写になっており、現代の感覚でも結構ショッキング。
本作が連載されていた70年代半ばの反響は相当なものだったと推測できます。
本作のようなある種”露悪的”な作品は背徳的だからこそ唆られるわけで。
万人におすすめできるわけじゃありませんが、たくさんの人に読んでもらいたい作品です。
この調子で他の ACTION 作品も刊行されてほしいところ。