VISUAL BULLETS

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ACTION 騒動についての所感

別記事で思ったこと書きまーす、と言った手前何も書かないわけにもいかないので書いてます。

正直、自分はブリティッシュ・コミックスについては有名どころをいくつかつまみ食いしているだけなのでそんなに詳しいわけでもないんですが、以前からこの界隈は面白いはなしがゴロゴロあるのでそのうちどっぷり浸かってみたいなとは思っていた次第でして。

ACTION 騒動についてもそういう気持ちであっち掘ってこっち掘ってしてた時に採掘されたネタです。

この手の誤解・曲解・拡大解釈が思わぬ方向に発展するパターンは英国だろうが米国だろうがそれこそ日本だろうが(規模の大小こそあれ)どこにでも転がっている話で、よくある話といえばよくある話です。

だいぶ前に扱ったゴーボールズの吸血鬼もそうですし、米国のコミックス・コードも一部の人たちによる曲解から生まれた面は否定できません。

中には難癖みたいな事例もあるので防ぎようがないところもあるのですが、じゃあ著者出版社はたかを括っていれば良いかというとそれもどうなんだろうとは思います。

結局、コミックだろうがなんだろうが表現というのはある種のコミュニケーションなわけで。

誤解によって生まれたコミュニケーションの不全はコミュニケーションでしか解決しません。

ACTION にしても過激な作風を糾弾する声にもっと最初から耳を傾けていれば、騒動後も制作側あるいは版元の IPC からもっと違った対応があれば……と、過去に対して根拠のない「もしも」を仮定したところでしようがないものの、こうした失敗、あるいは失敗からの可能性を未来の糧にすることはできます。

創作者に限らず、自分の意にそぐわない表現を見聞きしたり、あるいは自分の表現に対する指摘を受けたりした時、それを”難癖”として突っぱねるか、一度受け止めるかでは様々なことが変わってくるのではないでしょうか。

最近、”表現の自由”を巡る議論が活発になっていますが、今回の ACTION 騒動の事例から今の我々が得られる教訓は少なからずあると思います。


なお ACTION ですが最近になって再評価が進んでいるようで、例えば掲載作の1つだった HOOK JAW が単行本として刊行されています。

また雑誌形式でも2020年にレベリオンから特別復刊した他、2022年にもハードカバーで BATTLE ACTION SPECIAL として当時連載されていた作品達の新作が作られました。

2020年の方は読んだんですが、22年のやつはまだなので是非読みたいところです。