VISUAL BULLETS

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BATMAN: REPTILIAN

1日遅れのバットマン・デーを祝う意味でバットマンネタをいくつか頭の中で転がしてみたんですが、結局一番最近も読んだ作品をおすすめするのがよかろうということに落ち着きまして、はい。

去年から今年にかけて連載された BATMAN: REPITILIAN です。

BLACK LABEL だし、これが正史に含まれると何人か再起不能の奴が出てくるので多分正史には含まれない(この時点で本作のバイオレンス度をある程度察してほしい)。


ガース・エニスがライティングを担当。

あらすじは「謎の○○がゴッサムで△△を襲撃したことを知ったバットマンが真相を追う」というよくあるタイプのお話。

今回は「〇〇」に「爬虫類」、「△△」に「ヴィラン全員」を代入すればオーケー。

エニスは割とこういうよくある感じの導入から徐々に自分のペースへ持ち込んでいくタイプのライターです。

あ、タイトルから想像つくとおりキラー・クロックもメインキャストの1人として登場します。


当初は2016年に亡くなったスティーブ・ディロンをアーティストとして想定していたということが巻末に書かれていて納得。

THE PUNISHER: WELCOME BACK, FRANK などで見られたような「ルーニートゥーンズのノリを犯罪ドラマに持ち込むとこういうことになるよ」という居心地の悪い笑いが全編に散りばめられています。


SOUTH PARK などのアダルトカートゥーンを観るくらいの態度で臨むくらいが丁度良いとは思うんですが、他方で実際にアートを担当しているのがリアム・シャープだから視覚が翻弄されるます。

カートゥーンよりはコンセプトアートみたいな作画なのでちょっと油断するとネオノワール味や幻想味が漂ってしまい、コメディ成分がますます居心地悪くなるという。

顔筋を引き攣らせながらページをめくるのがニューノーマルというわけのわからない作品が爆誕しております。


……ここまで自分で読み返しても褒めてるんだか貶してるんだかわからない文章ですが、褒めてますよ?

クロックに対して面白い解釈を加えていたり、ブリティッシュ・コミックなノリのバットマンが楽しめたり。

「一風変わった」系バットマンストーリーの新作です。