VISUAL BULLETS

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消えた MASTER OF KUNG FU

何やらシャン・チー絡みのデジタルコミックがトラブっているようで。

以下のリンクは BLEEDING COOL の記事より。

bleedingcool.com

シャン・チーが登場した初期作, MASTER OF KUNG FU とか DEADLY HANDS OF KUNG FU とかが MARVEL UNLIMITED やアマゾンのキンドルなどといったデジタルプラットフォームから軒並み削除されているというお話。

ファンの間では初期作における東洋人の描かれ方に対して過剰に反応した結果なのではないかと邪推(まあいわゆる”ポリコレ”呼ばわりです)されていましたが、蓋を開けてみれば単純に権利問題だったという。

原因はフー・マンチュー。

怪人フー・マンチューは知っている人は知っていると思いますが、20世紀前半にサックス・ローマーが著した”フー・マンチュー”シリーズに登場する怪人物です。

1970年代、マーベルは一時的にこのキャラクターを使用する権利を入手したんですが。

シャン・チーってデビュー当初はフー・マンチューの息子として描かれていたんです。

しかしその後80年代に入ってマーベルとローマー側との間で交渉が決裂したらしく、フー・マンチューは使えなくなり、彼や同じくローマーの小説に登場するキャラクターが数多く登場する MASTER OF KUNG FU などのシリーズは長らく単行本化とかもされていませんでした。

シャン・チー本人もその繋がりから長らくやや使い勝手の悪い状態だったようなんですが、近年に入り、シャン・チーの父親については”フー・マンチュー”という名が偽名で本名は”ジェン・ズー”という設定を新たに盛り込むことでこれを解消。

70年代の単行本についてもローマー側と何らかの合意に達したのかオムニバスなどの形で刊行されて、デジタル化もされるに至ったわけですが。

どうもまたゴタついてしまったのか、フー・マンチューに絡む過去作はデジタルプラットフォームから消されてしまった模様。

紙の書籍についても今後重版や新装版、途中で止まっている EPIC 系単行本の続刊が刊行されるかも怪しくなり、過去のオムニバスなんかは一部で既に価格が高騰し始めています(次いつ刊行されるかわからないので今持っている人は大事にしませう)。

まあ何というかこういう会社で版権を保有して売買する米国コミック業界ならではの現象といいますか。

デジタルは物理的な制約を強いられない分、権利関係とかで突然こういうことが起こるので気をつけたいところです。