マーベルやひいては MCU のクリエイターに対する軽視ぶりは今に始まった話じゃないんですが、具体的な数字が出てくるとまたグロテスク。
以下は THE HOLLYWOOD REPORTER の記事
www.hollywoodreporter.com
この記事によると、2007年にエレーナ・ベロワというキャラクターに対してライターのデヴィン・グレイソンがマーベルと交わした契約書(”スペシャル・キャラクター・アグリーメント”と呼ばれる)では、彼女が映画に登場した場合、支払われるロイヤリティは25000ドル(今日付のドル円相場換算だと約345万円)で、少なくともグレイソンの印象では自身1人に対してこれだけの額が支払われるように思える書き方だったようです。
ところが実際ブラックウィドウの映画にエレーナが登場したことに対して彼女がロイヤリティとして受け取った額はわずか5000ドル。
契約書で提示されていた額の5分の1程度、今日付のドル円相場換算でおよそ70万円。
どうもマーベルが用意した”スペシャル・キャラクター・アグリーメント”という契約書は最初から解釈次第でどうにでも扱えるように書かれていたらしく。
グレイソンが弁護士などを雇って調べたところによると、”エレーナ・ベロワ”というキャラクターが映画 BLACK WIDOW に登場したことに対してデヴィン・グレイソン1人に支払われると思われていた25000ドルは、実際には共に同キャラクターを生み出したJ.G.ジョーンズ、それに同じ映画に登場し同契約が結ばれているその他”レッドガーディアン”などを生み出したクリエイター達も含めた全員に対して山分けする形で支払われたということです。
(ただしこれだと計算が合わないし、マーベルも厳密に”総額25000ドル”という額を定めているわけではないらしく、総額でこれ以上を支払った可能性はあるとのこと)
J.G.ジョーンズも具体的な数字こそ言わないものの、グレイソンと似たような額であることは認め、マーベルが「最初に大きな額を提示しておいて、実際に支払う段階になると減額してくる」という趣旨の発言。
私はこういった契約については門外漢なので、契約内容自体に対するコメントは差し控えるとして。
これがグレイソン1人の話ならともかく、上の記事によると同じ不満を抱いているクリエイターは他にもそこそこいるらしいので、まずこの時点で誤認を誘うような契約書を作ったマーベルは企業としてどうなのよ?という。
その上で実際に支払った額についても、全世界で38億ドル近く稼いだ映画やキャラクターを部分的にとは言え最初に生み出したクリエイターに対して支払う額としてはあまりに安過ぎるんじゃないですかね。
エンドクレジットの" SPECIAL THANKS "で名前を入れれば終わりじゃないんですよ。
この契約における解釈不一致が意図的かどうか関わらず、クリエイター軽視の姿勢はジャック・カービィの時代から何も変わってませんね、この会社。
マーベルは作品やキャラクターは良質ですが、企業としては終始こんな感じなので正直あまり好きにはなれません。
他にも上の THR の記事には「カメオ出演だと減額」とか「ゲームのロイヤリティはコンソールゲームのみ」とか生々しい内容に溢れていますので気になる方は是非。