VISUAL BULLETS

アメコミをはじめとした海外コミックの作品紹介や感想記事などをお届け

PEACEMAKER: DISTURBING THE PEACE

先の記事で名前を挙げたガース・エニスとギャリー・ブラウン、リー・ルーリッジらによる PEACEMAKER: DISTURBING THE PEACE 。

映画とそのスピンオフドラマにあやかって作られたと思しきタイミングに刊行されたブツですが、中身はアレです。

ピースメイカーの皮を被ったほぼオリジナル物で、中の人であるクリストファー・スミスの物語。

ポジション的には HELLBLAZER でいうところの HEARTLAND(ジョン・コンスタンティンの元カノだったキット・ライアンが故郷に戻る話。ジョンも登場しないし魔法もファンタジー要素もないヒューマンドラマ) とかパニッシャーでいうところの BORN (フランク・キャッスルのベトナム戦争時代の話。ほぼ戦記物)みたいなやつです。

この時点でわかる人はわかると思います。


エグいくらいの名作をわざわざ版権モノで出すという、人を喰ったような作品です。

何も知らないで”キャラクター”目当てで買った人に「喰らえこれが”物語”だ」とボディブローを喰らわせ、極上の読書体験を提供。

エンタメを期待する読書の頬を張り倒して「これがコミックだ、ざまあみろ」と高笑いし、性癖をぐちゃぐちゃに歪ませてくれるという。

…褒めてますよ?誤解なきよう。


エニスの UNKNOWN SOLDIER とか読んだことある人は特に好みだと思います。


オススメです。
まじで。