『 WEST COAST AVENGERS 』の新シリーズが発表された。
名前の元となる『 THE WEST COAST AVENGERS 』といえば、1984年に刊行されたミニ・シリーズは『 AVENGERS 』初のスピンオフとして好評を博し、直後に始まった月刊シリーズも102(+年刊誌8)号に渡るロングランシリーズとなった作品だ。
それなりの人気ブランドなだけにメンバーや雰囲気が大きく異なる今回のシリーズはファンも今のところ期待半分不安半分といったところ。
しかし何しろ前シリーズから25年近く経過している作品なだけに馴染みが薄いという人も少なくない筈。
そこで今回はこの西海岸を中心に活動する第2のアベンジャーズ・チームについて取り上げてみよう。
オリジナル・シリーズ
Avengers West Coast (1985-1994) #1
チーム
今でこそ10人以上になることもざらなアベンジャーズだが、初期は「基本メンバーは6人まで」という制約があった。
しかし当時チームのリーダーを務めていたヴィジョンは時と場合によっては経験を積んだヒーローがもっと必要になると判断。当時チームから離れていたホークアイことクリント・バートンに協力を仰ぎ、新たなチームをロサンゼルスに設立する。
米国の東海岸を中心に活動する無印と対をなして西海岸( WEST COAST )を守る存在としてこのチームは”ウェスト・コースト・アベンジャーズ”と名付けられた(後に『 AVENGERS WEST COAST 』とかになったりする)。
チーム創立時のメンバーは以下の通り
ホークアイ(クリント・バートン)
ご存知弓の名手にしてチームのリーダー。創立当初新婚だったモッキングバードことボビー・モースと共にチームを支え続けた。一時ハンク・ピムの発明を使って巨大化し”ゴライアス”と名乗っていたことも。
モッキングバード(ボビー・モース)
元S.H.I.E.L.D.エージェント。チーム創立時はホークアイことクリント・バートンの妻でもあった。だが自らを洗脳して性的に弄んだファントム・ライダーを間接的に殺害(崖から落下するのを見過ごした)したことを知られ、彼との関係は悪化。その後ヨリを戻したり再び破局したりを繰り返すが、最後は戦闘時にクリントを庇って死亡する。
タイグラ(グリーア・ネルソン)
トラの能力を持つ女性。一時はアベンジャーズ本店にも参加していたが、自らの力不足を痛感して脱退。その後クリントらに声をかけられてウェスト・コースト入りを果たす。チームの不殺ルールに反発してしばし距離を置いていたことも。
何気にファンが多い。
ワンダーマン(サイモン・ウィリアムズ)
肉体をイオン・エネルギーに変換する能力を有する超人。
マーベル・ユニバースでもトップレベルの実力を誇る能力者ながら精神的にはやや脆い。後にチーム入りするスカーレット・ウィッチと(自分の脳波を元に作成された)ヴィジョンに複雑な感情を抱える。ハリウッド・スターや企業のトップといったセレブな顔も。
アイアンマン
チーム創設時は一戦を退いていたトニー・スタークに代わってジェームズ・ローズが中に入っていた。後にトニーがアイアンマンの座に返り咲くと改めてチーム入りを果たすものの「アーマー・ウォーズ」事件での行き過ぎた行為を見咎められて追放されてしまう。
その後、チームにはスカーレット・ウィッチやヴィジョン、ムーンナイトといったメンバーが加わり多くの活躍を見せたものの、最後はモッキングバードの死を機に解散してしまう。
新シリーズ
93年に第2シリーズの連載が終了してからほとんど音沙汰のなかったウェスト・コースト・アベンジャーズ。
新シリーズはロサンゼルスで活動しているケイト・ビショップに招集され、以下のメンバーがチームを結成する模様。
ホークアイ(クリント・バートン)
前のシリーズにも登場した唯一のキャラクターにしてチームの最年長。今回はケイトや他のティーンヒーロー達の指導者的立場になる。
ホークアイ(ケイト・ビショップ)
弓矢を始めとした体術の達人で元ヤング・アベンジャーズのメンバー。クリントとは師弟/相棒関係にあるが、最近はソロで活躍することも(最近のシリーズで恋愛関係になった青年ジョニーも今回”フューズ”というコードネームでチーム入りするみたい)。
新シリーズではスーパーヒーローの不在に目をつけて集まってきたヴィランに立ち向かうべくクリントを始めとした面々に声をかける。
グウェンプール
読者の世界からマーベル・ユニバースにやって来たオタク少女。これといった特殊能力はないものの、コミックを読んで得たメタな知識やハチャメチャなアクションで幾多の危機を乗り越えてきた。今回も不思議ちゃんっぷりを活かした活躍を見せてくれるよう。
アメリカ・シャヴェズ
異世界出身の超人でいくつもの世界を渡り歩きながらスーパーヒーローとして活動してきた。怪力や飛行といった数々の特殊能力を持ち、性格もタフ。ケイトとはヤング・アベンジャーズの一員として肩を並べていた時期がある。
キッド・オメガ(クエンティン・クワイア)
エグゼビア学園の問題児。強力なテレパシーの使い手だが気まぐれな性格をしており、トラブルメーカーとしても知られる。
…改めて見るとスタンドプレイヤーばっかだな。
そんな個性の強い面々が集まったとだけあってメイン・ライターを務める Kelly Thompson によると新シリーズはリアリティ・ショーのような雰囲気になるとか。
Thompson は最近まで刊行されていたケイト・ビショップ版『 HAWKEYE 』シリーズを手がけていた人物で、期待の若手ライターとして現在その動向に注目が集まっている。
アートの Stefano Caselli も過去に『 THE AMAZING SPIDER-MAN 』などの作画を手がけている実力者だ。
前シリーズとは大きく方向性の異なる新シリーズが吉と出るか凶と出るか、是非ともその目で確かめて欲しい。
RECOMMENDATION READING
AVENGERS WEST COAST (1984)
Avengers West Coast Epic Collection: How The West Was Won
最初のミニシリーズと直後始まった第2シリーズの初期の活躍をまとめた合本。
HAWKEYE: KATE BISHOP VOL. 1: ANCHOR POINTS (2016)
Hawkeye: Kate Bishop Vol. 1: Anchor Points (Hawkeye (2016-2018))
Kelly Thompson がライティングを担当した一番最近のシリーズ。ロサンゼルスにやってきたケイト・ビショップの活躍が描かれる。