実際のレビューはかなり固めだったので追記というか補足は軽い口調で。
いや実際、この作品ほど「どうしてスーパーヒーローは戦争に行かないの?」って答えに明確な答えを提示している作品って覚えがないです。パロディが大化けしたというか、キワモノかと思いきや既存作品を覆す結果になったというか。
絶望を畳み掛けた後で「でもやっぱ魔法少女って良いよね」ってまとめ上げちゃったまどマギの最終回なんかと読んだ後の印象は似てるかも。
さて、今回本記事の方で『SQUADRON SUPREME』を引き合いに「スーパーヒーローは特殊かつ刹那的な存在だから社会を変化させるような干渉はできない」という旨の記述をしたけれど、実はあの部分もっと長く書いていた内容をごっそりと削ってたりする。というのも議論が大きく脱線してしまうからだ。
確かにヒーローは自分達を一時的な存在と見做している限りできることは限られるけれど、ならずっと関わってりゃいいじゃないという反論もあるわけで。DCやマーベルには不死に近い輩も少なくないし、Scott Snyderがバットマンでやってたみたいに自分と同等の存在を後世に再現する手段を持つような連中もいる。
ただそうなってくると最早今のボランティアみたいなヴィジランテ活動では無責任になるから何らかの普遍的システムを生み出す必要に迫られるものの、価値観のブレを許すような機構はそもそもスーパーヒーローの自発性と矛盾するし…
…と、まあ考えがまとまらなかったわけです、はい。フィクションの世界に対してどこまで現実的に突っ込んで良いのかっていう疑問も湧いてきたし。
今後このテーマは別の記事でも度々言及することになると思うけれど、その前に色々と読まなきゃならなさそう。
書くといえば、今日はもう1つE. Paul Zehrによる『CHASING CAPTAIN AMERICA』というノンフィクション書籍も扱いたかったんだけど時間的にきついのと、こちらに書こうと思っていた内容が『SQUADRON SUPREME』で書いたことと矛盾しそうなので練り直しのため中止。
とどのつまり「現代科学でキャプテン・アメリカは作れるか」という問いを科学的に分析した空想科学読本的な内容で、作者はこれまでもアイアンマンやバットマンにも同じようなアプローチをした作品を2作著している。軽妙な語り口でCRISPRみたいな最新科学をさっくり学ぶことができるのでこの手の本が好きな方にはおすすめです。
今までは読書体験の邪魔になりそうでこの手のアメコミ関連書籍は避けていたのだけれども最近そうでもないことがわかって少しずつ手を出すようになったので今後もちょいちょい紹介していこうかと。