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THE FLASH: CROSSFIRE (DC)

 2つの街で繰り広げられる戦いに板挟みとなったFlashの運命や如何に!?


The Flash: Crossfire

 仲間たちの戦闘不能状態やRogue達による目的不明の襲撃など、一見バラバラに見えて、しかし偶然にしてはタイミングの合いすぎている事件の数々。やがて隣町に住む筈のVic Stone a.k.a Cyborgまで音信不通になると不安を払拭しきれなくなったThe FlashことWally Westは捜査に奔走し始める。だがそんな彼をBlacksmith率いるNetworkの面々が襲撃する一方、これまでサイバー世界に身を潜めていた思念体Thinkerもまたさらなる進化を目指してKeystone Cityの市民らを人質に取りFlashに狙いを定める。Keystone CityとCentral City-2つの街で起こる危機にFlashらはどう立ち向かうのか……?

 Geoff Johnsによる3代目Flashのランが始まって以来、あちこちに散りばめられてきたあんな伏線やこんな伏線が一気に回収されるドラマで言うところのシーズン・フィナーレ。これまで街で起こる事件を裏で操ってきたBlacksmithの正体や1stアークで鏡面世界からこちらへ逃げ込んできたヒットマンPlunderの素顔が明かされたり、またMirror MasterからWeather Wizardまでこれまで登場してきたRogue達が総出演したり。Flashの真価が問われる1つの重要なイベントとなっている。もちろん、読み応えは十分。

 今回の話では“街”に大きくスポットライトが当てられた。
 Keystone Cityと共に戦いの舞台となったCentral CityというのはCrisis事件以前において2代目FlashことBarry Allenが活躍していた街で、Crisis事件でEarth-OneとEarth-TwoがくっついてからはKeystone Cityの姉妹都市として言及こそされるものの、あまり話に絡んでこながった。この場所に敢えて戦いをもってきたことは長年のファンの心をくすぐるにくい演出といえるだろう。
 また、他方のKeystone CityにしてももDCユニバースの下町としてこの街らしい戦いが繰り広げられ、長い歴史を持つDCユニバースに対するJohnsの敬意が感じられる。
 DCやMarvelといった世界観では最早街も1つのキャラクターと捉えることが十分可能であることを彼が心得ていることを伺わせる。

 ひとまずNetworkの件が片付きようやくホット一息、と思いきや早速次回以降に向けて新たな展開を見せた本作(この辺りの物語作りにはレヴィッツパラダイムが使用されているんじゃなかろか)。今回回収されなかった伏線と併せて、今後もどうなっていくのか目が離せないシリーズであることは間違いない。


The Flash by Geoff Johns Book Two