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B.P.R.D. Vol.6: THE BLACK FLAME (DARK HORSE, 2005-06, #1-6)

 蛙達が反旗を翻す — 。


B.P.R.D.: The Black Flame #1

 蛙達に対して大規模な駆逐作戦を展開させる B.P.R.D. 。その甲斐あって蛙達の影響は抑えつつあるように見えた。ミッションに繰り出す内、 Daimio から強い影響を受け率先して出動する Roger 、未だ過去を断ち切れずデスクワークに頭を埋める Abe 、そして Liz もまた不思議な男が出現する奇妙な夢に悩まされるなどメンバーは各々の事情を抱えていた。しかし彼らの知らないところで蛙達に実験を繰り返す ZINC 社のトップ Pope は、自らの計画を次の段階に進めるべく蛙達を操る漆黒のスーツを身に着け……。

 おーい、 Hellboy 。世界がこんなことになってんのにお前はどこにいるんだよー……と本巻は元最強のフィールド・エージェントを呼び戻したくなるほど脅威のハードルがぐいぐいっと上がる6巻目。前回の各地における戦闘を1エピソードずつ描いていたのと異なり、今回はシリーズのメインクリエイターである Mike Mignola と John Arcudi によるライティング、それに Guy Davis のアートで合本1冊を費やす長編。かつてない規模で蛙達との攻防が描かれる。
 蛙達による大行進に、それを操ろうとする謎の男Black Flame、終いには蛙達の崇拝する邪神様みたいのまで担がれる始末。チームの中からも初めて犠牲者が出たり、それを機に Abeがフィールド業務に復帰したり、 Liz が戦闘の中で驚異的な覚醒を見せたりと盛り沢山な内容になっている。いやあもうすっかり本家とは全然違う場所へ来てしまったわい。

 そんな本作の魅力は何と言ってもホラーとアクションとのバランスだ。一般的に実現するのが極めて難しいと言われるこの2ジャンルの融合だが、本作は近代兵器を駆使したドンパチを繰り広げながらも、あくまでチャネリングなどのオカルト要素を組み入れるのを忘れないことでそれに成功しているといえよう。

 無論、これを可能にしているのはストーリーだけではなく Guy Davis の作画、それに本家 HELLBOY シリーズでもカラーを担当している Dave Stewart の色使いあっての話だ。今回のエピソードにしてもやもすればパニックムービーのようになり本作の世界観とズレが生じてしまいそうなほど巨大な相手が出現しても、2人の描き出す禍々しい描写によりホラーとしての魅力を堅持している。

 メンバーを失うと共に、敵の脅威レベルが一気に引き上がり緊張感の増した本作。こうなるともうスピンオフじゃなくて別シリーズと考えた方が良いのかもしれない。


B.P.R.D.: The Black Flame #2


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