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B.P.R.D. VOL.5: WAR ON FROGS (DARK HORSE, 2008-09, #1-4)

 蛙共を殲滅せよ!


B.P.R.D.: War on Frogs #1

 拠点を新たにコネティカットへ移し、いよいよ新たなチーム編成のもと各地へ広がり続ける人々の蛙人間化を阻止すべく大規模な作戦を展開し始めた超常現象研究対策部隊 B.P.R.D. 。パイロキネシスの Liz Sherman やホムンクルスの Roger らも一般隊員に混じって蛙共の駆除を続ける内、各々に少しずつ心境の変化が訪れる一方、自らの出自を知って以来戦う意欲を失ってしまった Abe Sapien は本部でデスクワークで燻っていた。彼らの戦いに終わりはあるのか……。

 1人旅立った Hellboy がアフリカくんだりで海底に引きずり込まれたり船幽霊と呑んだくれたりしている頃、全米各地を忙しく駆けずり回っていたかつての仲間達の活躍を描くスピンオフ・シリーズ。本当は Hellboy と交互に記事をアップしたいのだけれど、 Hellboy の次巻を読んだところ後1冊2冊こっちをやらないと時系列が合わないようで。別にもう各々別の方向へ突き進んでいるので今更時系列を合わせる必要なんてあんまないっちゃないんだけど折角なので合わせてみようかと思った次第。なので HELLBOY の続刊はもうちょいお待ちを。
 
 シリーズ5冊目、蛙との攻防としては3冊目となる本巻は、前巻で新居へのお引っ越し(及び負の遺産の大掃除)も済み、いよいよ蛙の駆除作戦へ本格的に取り組み始めた B.P.R.D. の様々な戦いを描いたエピソード集といった内容。 Abe を除いた面々が揃って下水の中を突き進みながら敵を徹底的に殲滅していくような話から、敵の1匹と共に船室へ閉じ込められた一般隊員達の密室パニックのような話まで、様々な角度から蛙共との戦いを描いている。
 合本で読むと、 Liz ら特殊能力を有す者達にとっては厄介な害虫といった蛙達も、一般隊員にしてみれば生きるか死ぬかの相手であるという絶妙なバランス感覚が一連の物語にグラデーションをもたらしており面白い。

 また本家 HELLBOY は第1巻 SEED OF DESTRUCTION で登場した Cavendish 家の末裔達の姿を描いたエピソードがなんとも感慨深いと言うか。そもそも蛙が最初に登場したのはここなので、彼らの末路にはちょっと切ないものを感じずにはいられなかった。
 また、エクトプラズマ体の Johann が、死亡した蛙の亡霊を死後の世界に送り届けるエピソードなんてのもいかにもこの世界観ならではといった話で面白い。

 さてさて、こうした活躍を見ている限りでは B.P.R.D. 側の優勢にことは動いているように見えるものの……。


B.P.R.D.: War on Frogs #2


B.P.R.D.: War on Frogs #3


B.P.R.D.: War on Frogs #4


B.P.R.D.: War on Frogs #5