VISUAL BULLETS

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ROCKET GIRL (IMAGE, 2013-14, #1-5)

 個人的に超好きなシリーズの1つ。


Rocket Girl #1

 1986年。ベンチャー企業 Quintum Mechanics では画期的な新動力 Q-Engine の開発が進められていた。だがようやく完成した試作機をテスト運用してみたところ装置は暴走し、中からなんとジェットパックを背負った1人の少女が姿を現す。
 2013年の未来からやって来た”青少年警察官”であるという彼女、 Dayoung Johanson は Quintum Mechanics の不正な時間捜査を取り締まるためにやって来たというが、それは同時に彼女自身の時間軸を消滅させることを意味していた……。

 シリーズ開始が2013年。本巻に含まれるファースト・アークを終えてから急にペースダウンし2015年の11月に#7が出て以来、1年半近くご無沙汰していたシリーズが最近ようやく続刊を出したので嬉しくて読み直した次第。いやあ、やっぱいいなあ。

 本作の魅力は何と言ってもアーティスト Amy Reeder の手によって描かれるキュートでクールな主人公 Rocket Girl こと Dayoung Johnson 。若干15歳にして青少年警察(2013年における警察は Quintum Mechanics からの出資を受け、20歳以下の青少年から構成される。大人なんて信用できませんということらしい)のベテラン捜査官である彼女がページの中を所狭しと動き回る姿が最高に痛快。
 
 コミックにおいてティーンエイジャーを描くことの難しさに関してははるか以前にもどこかで言及したと思う。特に本作のような派手なアクションのある作品では日本の萌系漫画みたいにあまり丸っこいデザインにしてはアクションやシリアスな展開にキレが失くなるし、かといって逆にシャープにしてしまうとこの時期特有の未熟感と言おうか”幼さ”が失われてただ等身が低いだけの大人に見えてしまう。ぶっちゃけ現在コミック界でまともにティーンエイジャーを描けているアーティストはほんの一握りかと。

 そんな中、 Reeder は間違いなくこの子供から大人への過渡期である時期を描くことができる数少ない描き手であると同時に、卓越したアクション描写力の持ち主であるといえる。丸みのある容姿ながらしなやかなアクションで犯罪者らに立ち向かう Dayoung は確かに”警察官としてよく訓練された15歳”だ。
 そして何よりそんな彼女によるジェットパック・アクション。これが最高に格好良い。とりわけ#4で彼女を追って2013年からやって来た Quintum Mechanics の連中と Dayoung が NY の地下鉄内で行う追跡撃は迫力満点。彼女がマンホールを突き抜け駅に飛び出すコマにはカタルシスさえ感じられる。

 セカンド・アークの真っ只中で宙ぶらりんとなっていた本作。ようやく手に入る新作#8で Rocket Girl のどんなアクションが楽しめるか。今から楽しみで仕様がない。


Rocket Girl #2


Rocket Girl #3


Rocket Girl #4


Rocket Girl #5


Rocket Girl 1: Times Squared