季節や人は変わっても、繋がってることに変わりはない。
原書キンドル版(Amazon): Giant Days #5
仲のこじれた幼馴染との関係に戸惑う Susan 、常にゴーイング・マイ・ウェイな Esther 、そして未だ恋の何たるかさえよくわからない Daisy 。大学寮の部屋が隣同士になったのをきっかけに仲良くなった3人は、時に遭遇するトラブルを共に乗り越えながら順調に大学生活を送る。そんな彼女達が迎える学期末は大学主催の舞踏会、クリスマス休暇、そして期末テストとまだまだイベント盛りだくさん!
うーん、恋愛入ってきちゃったかー。
というのが読んですぐの率直な反応。前巻でちらほら匂わせてはいたものの、今回3人の恋愛要素がいっぺんに動き出すとは思っていなかったので。まあ、当初#6で終了する予定だったから当初のペースで物語をサクサク進めるのなら致し方ない部分はあるか。でもなー。やっぱ学生生活描くとなると最終的にピンクな方向へシフトせざるを得ないというのも何だかなー。
と、まあ。話の方向性という面で少々愚痴を宣ってはみたものの、ストーリーとキャラクターの情動が連動させるのにこれ以上のツールはないというのは事実だし。それに、だからといって中身が面白くないというわけではなく。少なくとも他の作品でよくあるような青春という名のキラキラ感や赤裸々という名のドロドロ感はほぼ皆無、シットコムのようなカラッとした軽さで展開するためそれほど嫌悪感は感じなかったことは好印象。3人が3人とも感情に振り回されつつ、でも互いの関係までは支配させないようなところがいいのかも。
クリエイター陣に関して、ライターは変わらず本作の大本であるウェブコミックのクリエイター John Allison 。アーティストは#5と#6は前巻と同じく Lissa Treiman が務めているものの、以降の2話では新たにインテリアで Max Sarin なる人物を迎えている( Treiman は変わらずカバーを担当)。調べてみたところ、フィンランド出身の Sarin は本作が初めてのアメコミらしく Tumblr などを覗いてみると結構紆余曲折を経て現在のポジションに辿り着いたよう。
別にだから応援したいなどと言うわけではないが、 Treiman が作り出した本作の雰囲気を崩すことなく、彼女より細めの線からなるすっきりとした Sarin のアートも中々にグッド。 Treiman のディズニーちっくな愛嬌とは若干異なる、どちらかというとコミック・ストリップのような可愛さに満ちている。
恋愛要素がセンターに陣取っていた本巻だが、終盤にはそれによる感情面のアップダウンもある程度落ち着いてきた。今後の展開では(ロマンチック要素を完全に廃棄しないまでも)また別の側面にもスポットライトを当ててみて欲しいと思ったり。
うーん……どのタイミングで本家ウェブコミックを読み始めるか悩むところ。
原書合本版(Amazon): Giant Days Vol. 2
原書キンドル版(Amazon): Giant Days #6