久しくまともなスーパーヒーロー物を扱っていなかったことに気づいたので、今回はメイン路線で比較的知名度も高めな作品を扱うことにしよう。現在DCのトップに立つライター、Geoff Johnsが主に2003年から2007年にかけてライティングを務めた『TEEN TITANS』だ。
ここ最近何をとち狂ったのか、人気作のシリーズ全部を鈍器みたいな”OMNIBUS”と冠して1冊のハードカバーにまとめるのがアメコミ業界で流行っているようで、今自分の手元にある『TEEN TITANS by GEOFF JOHNS OMNIBUS』もページ数1400超、重さにして約4.5Kgという鈍器サイズとなっております。
原書(鈍器版): Teen Titans by Geoff Johns Book One
Batmanの相棒RobinやSupermanのクローンであるSuperboyなど、とある事件でバラバラになっていた若きヒーロー達。そんな現状を憂いたVictor Stone a.k.a Cyborgは、緑色の肌を持ちあらゆる動物に変身できるBeast Boyや惑星Tamaran出身のStarfireなど、元Teen Titansのメンバーを誘い、新世代のヒーロー達を集めた新たなチームを結成する。
さて、本シリーズは2003年のカートゥーン・シリーズに合わせて始まったという経緯からそちらの面子も中心メンバーとして活躍する(但しRobinに関してだけは同じ衣装を纏った別人)ため初心者にもハードルが低い作品となっている。カートゥーンでのメンバーが指導者的な立場に就いているため、アフター・ストーリーのような感覚で楽しむことも可能かもしれない。
本当にJohnsはスーパーヒーロー、特にチームを描くのが上手だな、というのが率直な感想。
通常チーム物を平均的なライターがやると特定の1人ないしは数人にばかりスポットライトが当たって偏ってしまうか、あるいは等しく描こうとして全員薄っぺらくなってしまうものだけれど、Johnsは特定の誰かにばかり焦点を絞ることなく、しっかり群像劇として全員の魅力を均等に引き上げている。無論、特定のメンバーにスポットライトが当たるエピソードも豊富にあり、Beast Boyなどはミニシリーズまで生まれた。
話の中身そのものに関してもJohnsの手腕は見事だ。彼はMillarのように読者の期待を高めるツボをよく捉えている。暗黒未来における自分達との対決に、昔懐かしい人物のゲスト出演、終いには歴代メンバー全員集合まで胸熱展開に続く胸熱展開。流石、DCが分厚い1冊にまとめようとするだけあって、十分一気読みに耐えうる作品だった。
アートについてもメインのMike McKoneを始め、その後もDCで活躍するTony S.DanielやIvan Reisなど様々なアーティストが参加しており、ちょっとした見本市として眺めるのもアリかと。私としてはDanielとかCarlos D’andaなどもっと評価されて良いと思ってるんですけどね。
スーパーヒーローに関して忘れられがちなのは、彼らが自主的に善の道を選んだということだ。自分のためだけに能力を使うか、あるいは何もしないで能力を持て余す方が色んな意味で楽だったろう。彼らの年齢なら、むしろそちらの道を選ぶ可能性の方が大きかったに違いない。
しかし、彼らは今の道を選んだ。
彼らはそういった決断を下せる強さを備えている。
それこそが彼らの本当の強さなのだ。
あ、それとカジュアルなRavenがすごく可愛いです。