VISUAL BULLETS ー今日もアメコミ三昧ー

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『 CHILLING ADVENTURES OF SABRINA 』( ARCHIE, 2014 )

 メリッサ・ジョアン・ハート版のドラマ好きでした。


Chilling Adventures of Sabrina #1 (English Edition)

 魔法使いの父親と人間の母親との間に生まれた少女サブリナ・スペルマン。幼い頃から強力な魔術の片鱗を見せた彼女はおばで魔女のヒルダゼルダに育てられ順調に成長していた。やがてグリーンデールの町へ引っ越して来た彼女はそこでいとこのアンブロース、そして運命の相手ハーヴェイ・キンクルと出会う。だが間もなく16歳の誕生日を迎える彼女には魔女としての洗礼が待ち受けており……。
 同じ頃、隣町のリヴァーデールでは2人の少女によるいたずらで邪悪な存在が復活してしまう。


 キャッスルヴァニアに目がいっちゃってたけれどそういえば NETFLIX では同じ日にもう1つアメコミ関連で『 THE CHILLING ADVENTURES OF SABRINA(邦題:サブリナ:ダーク・アドベンチャー) 』も始まってまして。観ようかどうしようかと考える一方で、そういや原作(?)にあたる同名コミックのレビューをしようしようと思ってたのに諸々の事情で先送りにしていたことを思い出したんでようやく記事にしたためているわけであります。


 さて、ここ数年何を思ったか大きな方向転換を図っておられるアーチー・コミックス。それまでの旧態依然とした牧歌的なコメディ路線から一転(まあ、そっちはそっちで相変わらず刊行しているようではあるけれど)、メインタイトル『 ARCHIE 』にはマーク・ウェイドニック・スペンサーなどDC・マーベルの第一線で活躍する人材を招いたり、『 BLADK HOOD 』『 THE SHIELD 』といったヒーロー物を復活させるなど、いわゆるコミック界でいう”メジャー路線”に舵を切っている。

 
 中でも特筆すべきなのは本作を含むホラー物のラインナップ。アーチーらがリヴァーデールの面々がゾンビパニックに見舞われる『 AFTERLIFE WITH ARCHIE 』をはじめとした作品はどれも高い評価を受けている。

 本作についても元々の『 SABRINA THE TEENAGE WITHCH 』はサブリナが魔法で愉快なトラブルを巻き起こす児童向けコメディ作品だったようだが、こちらではドがつくほどの直球ホラーに。同じ世界観やキャラ設定でこうまでも変えられるものかと驚かされる。

 あ、上のあらすじで邪悪な存在を復活させた2人の少女というのはアーチーを巡るライバル関係を魔法で解決しようとした(なんでだよ)ベティー&ヴェロニカです。描かれこそしませんが中々エグいことをしたみたいです。


Chilling Adventures of Sabrina


 ライティングを担当しているのは本作のドラマ版も手がけているロバート・アギーレ=サカッサ。かつてマーベルで『 MARVEL KNIGHTS FOUR 』などを担当し高い評価を受けた人物で、現在は上記『 AFTERLIFE WITH ARCHIE 』も手がけている。海外ドラマが好きな方は『グリー』の脚本家としてもご存知かと。

 ティーンエイジャーの心理描写に長けた彼の手腕は本作でも存分に発揮されており、彼女の反抗期や恋心が物語の原動力として働いている。
 ホラーについてもそこらに転がっているようなグロ描写のオンパレードではなく、良い感じに読者の背筋を凍らせる不気味な演出が利いている(嗚呼、サブリナのパパとママの哀れな末路よ……)。


 本作の恐怖描写といえば忘れてならないのがロバート・ハックの絵だろう。ダイムノベルの表紙を彷彿とさせる懐かしくも新しいアートは本作の大きな魅力の1つで、埃っぽくおどろおどろしい空気はから常に緊張感が漂っている。
 単純にカバーと中身の絵が同じというのもポイント高いですね。


 とってもとってもクオリティが高い本作なのだが、残念なのは刊行が非常に不定期なところ。かなり早い段階でペースダウンしてしまった本作は2014年に#1が出てから2018年11月時点で未だ#8にしか達していない。今では半年に1度出るか出ないかといった感じだ。#1と#8ではハックの画風にも若干ながら変化が見られるのが危うい。

 ただ普通の作品であればそれだけで辟易して読むのをやめてしまいそうなところ、本作は1冊1冊の密度が非常に高いためクオリティが下がるよりはまだマシ、と次号へのモチベーションが続くのも事実。下手な着地で終わらせるよりかは今のペースで続けてほしいと思う気持ちもあるので難しいところです。


 単行本では#6まで収録されている上の第1巻が出ているものの、現時点でやや手に入れにくくなっている上、ぶっちゃけ中途半端なところで終わってしまうので同じ中途半端なら電子書籍の方で最新の#8まで購入してしまうのがおすすめかと。


Chilling Adventures of Sabrina #8 (English Edition)

 
 今更だけれどこの記事、ハロウィンの前にやればよかったのかなあ……。