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今年度のフィンガー賞受賞者が決定

 6月13日、サンディエゴ・コミコンは本年度のビル・フィンガー賞ジョーイ・ハメルドロシー・ウールフォークの2名に贈ることを発表した。
 2人はフィンガー賞が創設されて以来、初めての女性受賞者となる。


(右がウールフォーク、左がハメル)


 ビル・フィンガー賞は故ジェリー・ロビンソン(ジョーカーやロビンといったキャラクターの生みの親の1人)の提唱により2005年に創設された賞。
 かつてバットマンを世に送り出したクリエイターの1人でありながら、長らくその功績が認められてこなかったビル・フィンガーの名を冠し、過去に業界の発展に寄与しながら正当な評価を受けられずにいたクリエイターを対象に贈られる。

 そんなフィンガー賞の本年度受賞者はジョーイ・ハメルと故ドロシー・ウールフォークに決定した。
 選考委員長のマーク・エヴァニアによると全会一致だったという。

 ジョーイ・ハメルは初期のワンダーウーマン作品をウィリアム・マーストンに代わり担当したことで知られる人物。女性としては初めてスーパーヒーロー作品のライティングを手がけた人物とも言われる(これについては諸説ある模様)。

 大学の心理学教室で教鞭を取っていたことでも知られるワンダーウーマンの生みの親ウィリアム・マーストン。彼にアシスタントとして採用された元教え子のハメルは、晩年病に冒された彼に代わり『 WONDER WOMAN 』などのゴーストライターとして活躍した。
 彼女が手がけた1945年から47年にワンダーウーマンは大きく人気を伸ばしたと言われる。

 
Wonder Woman: The Golden Age Omnibus Vol. 2

(ハメルが手がけた『 WONDER WOMAN 』作品が数多く収録されている愛蔵版合本)

 ドロシー・ウールフォークオール・アメリカン・パブリケーションズ( DC の前身の1つ)やタイムリー・コミックス(現在のマーベル)などで編集者として活躍した。
 『 WONDER WOMAN 』『 YOUNG ROMANCE 』など女児向けコミックを中心に担当する一方、数多くのスーパーヒーロー作品にも携わった。スーパーマンにクリプトナイトという弱点を与えたのも彼女だと言われている。
 またライターとしても精力的に活動した。

 2人に対する賞の授与は7月20日アイズナー賞授賞式の場で執り行われる。なお、ウールフォークについては故人であるため、娘で自身も作家であるドナ・ウールフォーク・クロスが代理を務める。


 フィンガー賞はこれまで業界の発展に多大な貢献をしながら様々な理由でスポットライトを浴びることのなかったクリエイター達に贈られる賞として意義の大きなものだ。
 今回の受賞は業界全体に対する強いメッセージとなるだろう。