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闇のマルチバース、再び。 DARK KNIGHTS: DEATH METAL の予備知識

 現在、新刊が出ない状況が続いているアメコミ業界。
  DC では本来、5月から今年最大のクロスオーバーイベントが開始される予定でした。

 それは DARK KNIGHTS: DEATH METAL

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Art by Greg Capullo, Jonathan Glapion and FCO Plascencia, DC COMICS HP より引用
  
 ダーク・マルチバースの襲来を描いた2018年のクロスオーバーイベント DARK KNIGHTS: METAL の続編となります。

 前回クリエイター陣の中枢であったライターのスコット・スナイダーとペンシラーのグレッグ・カプロというコンビが続投。
 昨年の BATMAN: LAST KNIGHT ON EARTH で(1つの)バットマン・サーガを完結させた2人ですが、今回は更に JUSTICE LEAGUE なども担当したスナイダー1人にとっても現時点における総決算的内容にもなるとか。

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 そこで今日の記事では来るべき一大イベントに備えるため、本作を読むのに必要な予備知識をさくっと解説してみようと思った次第。

 今回も中々に複雑な内容です。いつも通り端折りすぎや間違いあったらごめんなさい。悪しからず。

DARK KNIGHTS: METAL

 まずは前作の復讐から。


 それまで DC ユニバースはソース・ウォールと呼ばれる壁に囲まれた52の世界観=”マルチバース”と呼ばれるもので構成されていると思われてきました。
 
 しかし、実はそれぞれのマルチバースにはその鏡像ともいうべき”ダーク・マルチバース”と呼ばれるものが存在したのです。

 ダーク・マルチバースは言ってみれば”負のマルチバース”。ヒーロー達はいつも敗れ、どの世界も破滅する運命を抱えている地獄のような世界観となっています。


 これまでほとんどその存在を知られるていなかったダーク・マルチバース。それらを司るバルバトスという魔竜は自らの領域だけでは飽き足らず正のマルチバースにまで侵攻してきました。
 
 バルバトスとその尖兵である7人のダーク・マルチバース版バットマンことダークナイツの軍勢に苦戦を強いられたヒーロー達でしたが、最終的に” Nth メタル”と呼ばれるアイテムを用いることで敵を退けることに成功します。

 しかし、その影響により DC のマルチバースを囲んでいたソース・ウォールが決壊。内側を閉じ込める”檻”であると同時に外側を退ける”柵”でもあったこれが壊れたことで DC ユニバースは新たな脅威に晒されるようになりました。

 ジャスティス・リーグはこれに対応するため、さらなる戦力増強を図るようになります。 

世界の始まり ペルペチュア

 ここで一旦時間を巻き戻してみましょう。

 (ここ、少し専門用語増えます・・・。) 

  DC ユニバースの起源は”ソース”と呼ばれる存在です。
 遥か昔、そのソースを管理する”ソースの審判”( JUDGES OF THE SOURCE )と呼ばれる者達は”スーパーセレスシャルズ”という連中を配下を従え、世界に新たな生命の息吹を根付かせるよう命令しました。
 なお、ここで指す”世界”というのは”オムニバース( OMNIVERSE )”と呼ばれ、マルチバースより広い範囲の宇宙、あるいはマルチバースの総体のようなものと考えていただければよろしいかと思います。
 
 (まあ、そこまで深く考えなくてもいいです。ここら辺はライターや作品ごとに定義が違ったりするので・・・)

 
 そんなスーパーセレスシャルズの1人にペルペチュアという者がいました。
  
 彼女は DC ユニバースを作り上げた創造神であると同時に邪悪な存在でもあったと言われています。
 というのも、彼女は他の同族と異なり、密かに主人である審判達への反逆を企てていたからです。

 彼女は審判達に命じられたとおり、マルチバースとそこに生きとし生けるものを創り上げる一方で、密かにそれらを武器として利用しようと画策しました。

 
 ペルペチュアはモニターアンチ・モニターワールド・フォージャーという3人の子息を生み出し、彼らにマルチバースの管理を任せました。

 中でも特にワールド・フォージャーと呼ばれる者に与えられた役目は「安定した(ペルペチュアが武器として使えそうな)世界とそうでない世界を選別する」という作業。

 この「安定した世界」というのが DC ユニバースにおける52のマルチバース「そうでない世界」というのがダーク・マルチバースだそうです。


 ところが3人の子息はやがてペルペチュアの真の目的が反逆だということに気づき造反。主人である審判達に謀反の意を悟られたペルペチュアはソース・ウォールの中に封印されてしまいます。
 
 
 ちなみにペルペチュアが武器として使えない世界、不用なダーク・マルチバースは、そのエネルギーを再利用して新たな世界を作り出すため当初速やかに破壊されていたのですが、そのために世界を破滅に導くべく生み出された存在、それこそがバルバトス -- そう、前作 METAL に登場した魔竜です。

 バルバトスはその後暴走してワールド・フォージャーを殺害。熟した果実ともいうべきマルチバースに狙いを定める一方で、本来壊さなければならないダーク・マルチバースについては自分の軍勢として残すようになり、(これ自体、ペルペチュアが裏で手ぐすね引いていたとか)前作 METAL の物語に至ります。

 
 さて、時は経ち。
 METAL でソース・ウォールが崩壊したことによりペルペチュアは復活(・・・ぶっちゃけ一口に”復活”といってもライオネル・ルーサーとかリージョン・オブ・ドゥームとかトータリティとか火星人と地球人とか色々あるんですが、ここでは長くなるので大幅に割愛。気になる人は近年の JUSTICE LEAGUE を読んで下さい)。

 彼女は再びマルチバースを利用しようと狙いを定め、その尖兵としてレックス・ルーサーを選出。邪魔なジャスティス・リーグを退けるよう命じます。
 結果、一度は勝利したかに思えたものの、窮地をクインテッセンシャルという超越的存在(ニュー・ゴッズのハイ・ファーザーや先代シャザムのママラガンなどからなる連中だそう)に救われたジャスティス・リーグに逆転され、最終的にマルチバースの掌握には失敗してしまいます。

 次の手を講じるペルペチュアの前に現れたのは・・・。

嗤うバットマン

 前作 METAL で話題をひっさらっていった嗤うバットマンこと BATMAN WHO LAUGHS (以下、 BWL )。

 その正体はダークマルチバースの1つであるアース -22(ハイフンじゃなくてマイナスね)出身のジョーカー化したブルース・ウェイン。その世界で遂にジョーカーを殺害してしまったバットマンは、死の間際にジョーカー化薬を浴びせられてしまったことで狂気に支配され、道化の王子と同等かそれ以上に邪悪な存在となってしまいました。

 ちなみに上でダーク・マルチバースはマルチバースの鏡像と記しましたが、アース -22と対応するマルチバースのアース22は、かの有名な KINGDOM COME の世界になっています。


 さて、世界中に狂気を蔓延させた後、息子のダミアンを始めとして狂化した子供達を”レイビッド・ロビンズ(狂ったロビン達)”として従えた BWL はやがてバルバトスの軍団に誘われ、他のダーク・マルチバース出身のバットマンらと共にマルチバースへ侵攻します。


 METAL のラストでバットマンとジョーカーのタッグ・チームを前に敗走した BWL ですが、その後も DC ユニバースの主舞台であるアース0で密かに暗躍(気になる方は IMMORTAL MEN とか BATMAN WHO LAUGHS とかをお読み頂ければ・・・)。

 新たな配下としてシャザムブルービートルホークマンスーパーガールドナ・トロイ、そしてジェームズ・ゴードンの6人をジョーカー化させ、ヒーロー達を混乱に陥れます。


 この動きは復活したばかりのペルペチュアをも動揺させます。
 というのも、 BWL が纏うダーク・マルチバースのエネルギーはその性質上、彼女の回復を阻害させるからです。

 そこでペルペチュアは配下のレックスに BWL を処分するよう命令。両者は激しい戦闘が繰り広げられますが、最終的にジョーカー化されたヒーロー達を正気に戻したレックスに軍配が上がります。


 その後、ペルペチュアの前に引っ立てられた BWL ですが、実はこの瞬間こそ彼の真の目的でした。

  BWL は巧みにペルペチュアを丸め込み、レックス・ルーサーよりも自分を選ぶべきだと主張。同じ頃、レックスがジャスティス・リーグを倒すことに失敗したことでペルペチュアは彼を見限り放逐。 BWL を新たな右腕として採用します。

 創造の邪神に彼が見せる光景とは・・・。




 ・・・と、以上が DARK KNIGHTS: DEATH METAL に至るまでのざっくりとした経緯です。ぶっちゃけ細かいところ結構省いてますが極端な話、およそ必修なのは

- DARK KNIGHTS: METAL
- JUSTICE LEAGUE

で、 BATMAN WHO LAUGHS 含め、他はある程度スルーしても個人的には十分いけるんじゃないかと思います。


 何にせよ、スコット・スナイダーがこれまで DC ユニバースで編み上げてきたサーガの集大成にして、DC におけるスナイダー&カプロのラストタッグとも言われる DARK KNIGHTS: DEATH METAL

 今回のコロナ騒動の影響で本来の刊行予定だった5月から大幅にずれ込むことは必至なものの、待つ時間が長ければそれだけ予習復習に時間をかけられ期待も膨らむというもの。

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Art by Greg Capullo and Jonathan Glapion, DC COMICS HPより引用.


 チェーンソーを構えるワンダーウーマン(本作は彼女が主役)!
 大鎌を振りかざすバットマン!
 ロン毛&右腕どうしたスーパーマン!

 
 改めて、2020年のビッグイベントを心して待て!