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感想『悪魔城ドラキュラ — キャッスルヴァニア — 』シーズン2

 面白い。そして、重い。


Castlevania (Music from the Netflix Original Series)

 あ、ネタバレを多分に含むので未視聴の方はご注意を。


 ドラキュア討伐のため一致団結したトレヴァー、サイファ、そしてアルカードの3人。彼らは今後の対策を練るべく、まずはトレヴァーの一族が怪物を狩る中で得た知識を収めるベルモント邸の書庫を目指すことに。
 一方その頃ドラキュラ陣営はワラキア侵攻を着々と進めるも、主の自暴自棄とも思える振る舞いに配下の吸血鬼たちは疑心暗鬼に駆られていた。そんな中、他より遅れてスティリアからカーミラがやってくる…。


 はい、そんなわけで NETFLIX で配信中の『悪魔城ドラキュラ — キャッスルヴァニア — 』シーズン2を観了致しました。

 本格的に話し始める前に、先に本作の制作経緯などについてはシーズン1の記事について書いたこちらを参照されたし。

www.visbul.com

 あと、そちらでも書いたとおり私は本作をウォーレン・エリスの脚本目当てで視聴しているので、ここではストーリー面に重きを置いて語っていこうと思います。悪しからず(エリスについても上の記事で)。


 さてさて。シーズン1では怪物を狩る一族の末裔でありながら世捨て人として日々を過ごしていたトレヴァー・ベルモントという人物をメインに、エリス的主人公の典型とも言える”ヒーローの帰還”が描かれた本作。
 去年の今頃それを見終えた私は「ああ、シーズン2では人間社会の代表者たる彼と古からの叡智を司るドラキュラの対峙を通じてある種の”未知との遭遇”が描かれるんだろうなあ」などと予想していたんですが、蓋を開ければ予想通りに予想の斜め上といいますか。ただの怪物退治などには終始しませんでした。


 一応形だけはトレヴァー陣営をメインに据えていますが、本シーズンで真にスポットライトを浴びているのは敵であるドラキュラ、そして彼が従える吸血鬼陣営。

 今回のお話は「怪物を退治しようと仲間達が奮闘する」英雄譚である以上に、「生のしがらみに囚われた怪物がもがいた果てにようやく与えられた死」を描いた遺書みたいな内容です。


 魔物退治に邁進するトレヴァーらの立場からすれば物語はプラス方向。
 戦闘シーンはシーズン1でも見られたようにアクションがアクションを呼ぶ連鎖反応が小気味よく、さらに今回は戦法のバリエーションも豊富。第6話でトレヴァーが得物を取っ替え引っ替えしながらアクロバティックに戦う様なんかは個人的にお気にいりです。
 また3人の会話もエリスらしい皮肉と自虐まみれのユーモアを多分に含んでおり、ノリツッコミ的なギャグとは違う、自然発生的な笑いが心地いい。


 けれど他方でドラキュラはと言えばひたすらどん底へフリーフォール。常にふさぎ込んでいる彼は何に対しても無関心で、敵味方が張り巡らす権謀術数を察していても意気消沈。ギリギリのところでようやく降りかかってきた火の粉を払おうと重い腰を上げるばかり。
 死を望みながら復讐心からそれさえできない、文字通り生ける屍となった彼の姿はぶっちゃけ見るに堪えません。


 そんなもんだからトレヴァーらが勝利しても全然嬉しくない。逆カタルシス、とでも言いますか。気がつけばひたすら寂しく、切なく、息苦しい”何か”を背負わされている。

 きわめつけはラスト。号泣するアルカードがもう全部体現してくれちゃってます。

 悪いのは愛する女性を奪った人間達なのに。愚かなのは自らの幻想を押し付けようとした他の連中なのに。怪物としてしか心のかたちを表現できなかったばかりに悪を背負わされてしまった。
 愛するものから”悲しむ術”を教わらなかった哀れな異形。

 そんな父を弔い涙する息子の姿で幕を閉じる本シーズン。視聴後しばらくやるせない気分になります。
 
 なお同様の感想を抱いた視聴者はそこそこいるらしく、エリスのニュースレターによると『キャッスルヴァニアで鬱になった』とか『こんなこと望んじゃいなかったのによくもやってくれたなキャッスルヴァニア』とか、玉虫色の感想が寄せられているそうです。

 
 総じて言って満足といえば満足。けれど方向性が違うというか……いやあ、なんとも頭での処理が追いつかない作品でした。


 シーズン3もやるみたいで、観たいような気もする一方で物語をこのピークで止めたいという気持ちも。エリスの脚本もシーズン2までだって話だし。次に誰がストーリーを担当するかで決めるかな。


 はい、そんなわけで手短ながら以上が『悪魔城ドラキュラ — キャッスルヴァニア — 』シーズン2の感想でした。

 気になった方は是非ともチェックしてみて下さい!