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『 ACTION COMICS: REBIRTH』総括 (#957 - 1000 + SPECIAL #1)


Superman: Action Comics: The Rebirth Deluxe Edition Book 1 (Rebirth)

  Dan Jurgens がメイン・ライターを務める連載のラストを飾る『 ACTION COMICS SPECIAL #1 』を読み終えたので、一旦ここらで総括してみようかなと思った次第。

 ……で、いつもの調子でお硬い文章(自覚あるのに直らない)を書き進めていたのだけれど、進めれば進めるほど文章の破綻が著しくなったので遂に諦めゼロから書き直すことに。

 最初は家族がどーの宿敵がどーのと書いていたんですがね、結局 Jurgens のライテイングって驚くほどスタンダードなスーパーヒーロー物だという結論にたどり着きまして。取り急ぎ書き上げてみました。


 さて、スーパーヒーローが主役のストーリーを作る際に最も重要なのは何か。
 それは”テーマ”だ。テーマが決まれば魅力的な主人公も印象に残る宿敵も簡単に決まるし、それに沿ったドラマ展開というのも自ずと決まってくる。
 他ジャンルでも”テーマ”は重要な要素かもしれないが、シンボル性の強い「スーパーヒーロー」という存在を扱うのに際しては特に、主人公が何を体現するかを示す意味でも”テーマ”は最重要要素となってくる。
 逆を返せばこの部分が曖昧だと、どんなにキャラクターや世界観が優れていてもどこか浮ついた風になってしまうということだ。


 では今回の Dan Jurgens による連載のテーマは何か。それは”家族”だ。
 『 CONVERGENCE: SUPERMAN 』(これもJurgensがライティングを担当した)で初登場した息子ジョナサンの DCU 本格参戦や、実は実父ジョー・エルだと明かされた Mr.Oz との対決など、今回の連載ではあの手この手で家庭を持つヒーローとしてのスーパーマンが強調された。

 そしてこのテーマは物語の展開にも大きな影響を及ぼしてくる。

 例えばヴィランは彼の家族に脅威をもたらす存在(ドゥームズデイや Mr.MXYZPTLK )、あるいは新たに父となった彼の歪んだ鏡像(ゾッドや Mr.Oz )として登場し、スーパーマンにそんな敵との対峙を通して自らを見つめ直す機会を与えた。そして、その反省はドラマパートで解決されることもあれば、次のアクションへ進むきっかけになることもあり、どちらにせよ物語を前進させる。

 #799において父ジョー・エルによってファントム・ゾーンに封印されたことがゾッドとその家族に与えた影響を目の当たりにしたことから、サイボーグ・スーパーマンを解放するという選択をしたことなんかはその数ある例の1つだ。同じ号では彼がロイスと彼女の父サム・レーンとの仲を取り持つ展開もあった。

 ドラマパートも当然ながらこの”家族”というテーマが強調され、スーパーマンと息子ジョナサンや妻ロイス・レーンとの関係を中心にストーリーが展開した。ゲスト出演したブースター・ゴールドについても彼が未来に残してきた両親との再会劇が描かれた。

 唯一、ヒーローに転向したレックス・ルーサーとの関係だけがテーマに沿わなくて浮ついた印象を受けるが、あるいはその辺は私の分析不足なだけかもしれないのでご容赦を。


 何にせよ、今回の連載は1つのテーマを軸にアクションとドラマを絶妙にマッチさせるという、スーパーヒーロー作品の基礎に大変忠実な作品という印象を受けた。


 時間に余裕があれば「スーパーヒーローと家族」というテーマにもう少し突っ込んだ記事を書いてみようかと思います。


 ……それにしてもそろそろこの自転車操業的な更新どうにかしないと記事のクオリティは下がるわ時間がきっつきつになるわで限界近いかも。1日位更新休んで記事の案練るかな……。