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備忘録:スコット・スナイダー&グレッグ・カプロ@COMIX EXPERIENCE

 現在『 JUSTICE LEAGUE 』などを手がけているライターのスコット・スナイダーが最近ユーチューブで頻繁に動画を投稿してまして。

 自らの創作に関する話題に始まり、技術的な解説やショーン・マーフィーら他クリエイターへのインタビューなどファンには垂涎ものの内容になっているわけですが、先日投稿された彼とアーティストのグレッグ・カプロが サンフランシスコで COMIX EXPERIENCE というイベントに招かれた際のビデオが色々と語られていて楽しかったので、印象的だった発言を記憶の限り&箇条書き&意訳でお届け致します。
 発言の順序とかはかなりごちゃごちゃですが悪しからず。


Batman Vol. 1: The Court of Owls (The New 52)



・現在でこそ名コンビとして知られているが、最初は一度も面識がないにも関わらず『 BATMAN 』でタッグを組むことになったスナイダーとカプロ。しかも NEW52 でナンバリングを刷新した#1を手がけることになり、とりわけスナイダーはかなりのプレッシャーだったそう。
 それもあってか、小説畑出身だったスナイダーは当初事細かにアーティストへ指示を出す”フル・スクリプト”方式で脚本を書き上げたが、長年『 SPAWN 』などを手がけさっくり話の流れだけ伝えて後はアーティストの自由にさせる”マーベル・スタイル”に慣れているカプロとは相性が悪く、メールで軽い口論になったとか。

・ギスギスした関係だった2人の転機は『 BATMAN 』#5。バットマンが梟の法廷の迷宮に迷い込むという内容の本話においてスナイダーが演出をカプロへ任せてみたところ、上がってきたアートに衝撃を受け、以降は考えを改めた。現在スナイダーはアーティストごとにどういう脚本ならやりやすいか最初に尋ねるようにしているという。


Batman Vol. 4: Zero Year-Secret City (The New 52) (Batman Graphic Novel)

・バットマンの新たなオリジンを描いた『 ZERO YEAR 』編はフランク・ミラーによる名作『 YEAR ONE 』が既にあるだけに最初は読者からの反発が大きかったそう。スナイダーは「批判を受けるのは俺だけじゃない」と割り切ろうと努めたものの、エゴサしてみると非難の矛先は自分にばかり向けられており、カプロはむしろ「スナイダーなんかと組まされてかわいそう」などと同情的なコメントが多々見受けられ益々凹んだとか。
 (ただし、いざ『 ZERO YEAR 』編が刊行されるとそういった批判的なコメントはぷっつりとなくなり、逆に称賛されるようになった)

・カプロ曰く「ダン・ディディオは邪悪な双子の片割れ」


Dark Nights: Metal: Deluxe Edition

『 DARK KNIGHTS: METAL 』をやろうとした時、大型クロスオーバーイベントであるだけにスナイダーは経営陣の前でプレゼンしなければならなかったが、ぶっちゃけそこに集まっていた連中は話の内容などはどうでもよく、それよりも「このイベントからどんなグッズを作り、収益化できるか」が重要視された。


Dark Nights: Metal

・(『 METAL 』か何か忘れたけれど)スナイダーとカプロがやろうとした際、当初ダン・ディディオを始めとした編集部からリスキーだと反対されたが、ジム・リーが「クリエイターが何かやりたい時は身を引いてそれをやらせてあげるべきだ」と説得したという。


Superman Unchained: Deluxe Edition (The New 52)

・ スナイダーがニール・ゲイマンから頂いた言葉『今は自分の実力がまだ足りてないんじゃないかと思うだろう。数年後には以前の方が実力があったと思うようになる』(クリエイターの不安はずっとなくならないという意味かと)。
 またグラント・モリソンからはバットマンを手がけるにあたって『そのキャラクターの誕生と死を描くべきだ』との助言を受けた(誕生は『 ZERO YEAR 』をやったので『 LAST KNIGHT 』でバットマンの”最期”を描くという)。

・カプロとのコンビで手がける最後のバットマンエピソード『 LAST KNIGHT 』は今のところ来年1月の刊行を予定している。


……以上がぱっと思い出せたもの。他にもコミック業界の内部事情を赤裸々に語った充実の110分となっているので、興味を持たれた方は是非ともスナイダーのユーチューブチャンネルでご視聴下さい。