VISUAL BULLETS ー今日もアメコミ三昧ー

原書レビューを中心に、MCUからクリエイターのトリビアまでアメコミに関する様々な話題をお届け

AHOY COMICS創刊!アメコミ新時代を切り開けるか!?

 新たなインデペンデント系アメコミ出版社『 AHOY COMICS 』の立ち上げが本日発表された。


 ジャーナリストのハート・シーリーが発起人となった『 AHOY COMICS 』はかつて DC で VERTIGO レーベルで編集者として活躍したトム・ペイヤースチュアート・ムーアをそれぞれEIC( EDITOR IN CHIEF:編集長 )とCCO( CHIEF CREATIVE OFFICER: 筆頭)に迎える。シーリー自身はパブリッシャー(販売部門トップ)となり、CCO にはもう1人カートゥニストのフランク・カムーソも加わる。

 『 AHOY 』とは今で言う” Hey "や” Hi "といった呼びかけのやや古風な言い方。
 『 AHOY COMICS 』では『 ABUNDANCE (豊富)』『 HUMOR (ユーモア)』『 ORIGINALITY (独創性)』『 YES! (イエス!)』の頭文字を取ったという。特に最後の『 YES! 』どんなアイデアも大歓迎という意味で、それは作品自体のみならず刊行形式などにも適用される。
 例えば『 AHOY COMICS 』ではかつて多くのコミックが使っていたものの今は廃れてしまった”ページの表記”を復活させるとか。このように新しいアイデアは勿論のこと、昔のアイデアでも良いものならどんどん採用していく予定らしい。

 『 AHOY COMCIS 』の大きな特徴は刊行するコミックの形式だ。
 発表によると刊行物の大半は$3.99で40ページとなり、通常のコミックに加えてカートゥーンや小説など様々なコンテンツを詰め込んだ雑誌のような形になるという。
 通常のストーリーと関係のない内容のコンテンツが収録されることは昔でこそ盛んに行われていたが、現在は一部の作品を除いて行われていない。
 マーベルや DC など業界の一般的なコミックと比べるとかなりコスパが高いのも画期的な動きといえるだろう。

 既に作品を手がけるクリエイターとしてグラント・モリソンピーター・ミリガンといった著名クリエイターの名が挙がっており、豪華な顔ぶれが早速話題を呼んでいる。

 肝心の作品だが、現在刊行が発表されているのは以下の4つ。

・『 THE WRONG EARTH 』

f:id:C3rdP:20180615043327j:plain
(Image Credit: Jamal Igle / AHOY Comics)

 全6冊のミニシリーズ。トム・ペイヤーがライティングを手がけ、 DC などで数多くの作品を手がけたジャマル・アイグルがアートを手がける。
 平行世界の同一人物、2人のドラゴンフライマン - 1人はアンチ・ヒーロー、もう1人は冒険家 - が入れ替わったことによる騒動を描く。
 #1は$3.99で40ページ。上記のメインコンテンツの他グラント・モリソンによる小説作品『 HUD' HORNET'S HOLIDAY IN HELL 』(イラストはロブ・スティーン)や、ドラゴンフライマンのサイドキックであるスティンガーを扱うおまけ作品、またアイズナー賞受賞者のシャノン・ウィーラーによるコミック・ストリップも収録される予定。
 9月刊行予定。

・『 HIGH HEAVEN 』

f:id:C3rdP:20180615043342j:plain
(Image Credit: Richard Williams / AHOY Comics)

 全5冊の大人向け風刺作品。こちらもトム・ペイヤーがライティングを、グレッグ・スコットが作画を担当する。
 四六時中周囲に毒を撒き散らす男が死んで天国へ行ったことに始まる騒動を描く。
 ペイヤーとクリス・ジャルッソによるコミックの他、シャノン・ウィーラーによるカートゥーン(上の『 THE WRONG EARTH 』に収録されるものとは別の作品)やグラント・モリソンによる小説作品『 FESTIVE FUNTIMES AT THE NEW WORLD'S FAIR 』(イラストはリック・ギアリー)が収録予定。
 本作も#1は$3.99で40ページ。
 9月刊行予定。

・『 EDGAR ALLAN POE'S SNIFTER OF TERROR 』

f:id:C3rdP:20180615043319j:plain
(Image Credit: AHOY Comics)

 DC の『 FLINTSTONES 』で知られるマーク・ラッセルなどを迎えて送るアンソロジー・シリーズ。
 他にもイギリスの70年代80年代のアングラ系コミック界を牽引したハント・エマーソンや、マーベルや DC でアートを手がけた経験のあるフレッド・ハーパーらが作品を提供する。
 10月刊行予定。

・『 CAPTAIN GINGER 』

f:id:C3rdP:20180615043310j:plain
(Image Credit: June Brigman / AHOY Comics)

 『 AHOY COMICS 』の CCO であり、ライターとしても精力的に活動するスチュアート・ムーアが、マーベルのティーンヒーローチーム、パワー・パックの生みの親の1人としても知られるジューン・ブリグマンと共に送る作品。
 乗員が猫だらけという宇宙船を舞台にしたスペースオペラ。登場キャラクターは単に猫っぽい容姿をしているだけでなく、動作も猫そのものという一風変わった作品になるとか。
 モリソンやウィーラーによる作品も収録され、#1は$3.99で48ページ。
 10月刊行予定。

 今後も『 THE FILTH 』のゲーリー・アースキン、『MISTER X』のディーン・モッター、さらには往年の名ライターロジャー・スターンなどの作品を刊行する予定。

 現在、アメコミ業界全体で新たな出版社が創設されたり、新レーベルが立ち上がったりと、とりわけインデペンデント系作品を巡る状況が大きく変化しつつある。
 そんな中登場した『 AHOY COMICS 』は、しかし作品やクリエイターだけでなく刊行形式にも手を加えてウリにしているという点で他社との差異化を目指す。
 彼らによる新たな試みが成功すれば、アメコミ業界全体が今後大きく変化するかもしれない。

 
 さらに詳しい記事やインテリア・ページのプレビューは公式サイト、それに以下の2リンクからどうぞ。

Ahoy Comics | Expect More
(出典:AHOY COMICS)

www.hollywoodreporter.com
(出典:THE HOLLYWOOD REPORTER)

www.newsarama.com
(出典:NEWSARAMA)