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勃発!2人のスピードスターがぶつかり合う『フラッシュ・ウォー』


The Flash Vol. 8: Flash War (The Flash: Flash War)

 最早安定して大幅に遅れる正午の記事でございます。

 今週刊行された『 THE FLASH #47 』で遂に開始されたフラッシュ今年最大のイベント『 FLASH WAR 』
 仲間であり家族である筈のバリー・アレンウォーリー・ウェストが衝突するというこのイベントは、 DC ユニバースを蘇らせた『 DC UNIVERSE : REBIRTH 』、バットマンとフラッシュによるクロス・オーバー『 THE BUTTON 』といったストーリーに連なり、今後の DC ユニバースにも大きな影響を及ぼすものになると予想され、現在多くの読者から注目を浴びている。
 
 そんな満を持して始まった『 FLASH WAR 』だが、これまで『 THE FLASH 』シリーズを読んでいなかったなどの理由で乗り遅れてしまったという人も多いだろう。
 また、現在のフラッシュはタイム・パラドクスパラレル・ワールドといった要素が深く関わっているために似た名前や容姿のキャラクターが重複しており、話が多少ややこしく内容が呑み込めないという方もいるのではなかろうか。

 そこで今回の記事では『 FLASH WAR 』を読む上で必要な知識をざっくり解説。踏まえておくべきポイントをいくつかの項目に分けてそれらを時系列順に追っていく形で記していこうと思う。

 なお、本記事には昨日刊行された『 FLASH WAR 』の第1章『 THE FLASH #47 』や、このプロローグである『 THE FLASH #46 』など最近の連載内容についても多少言及するのでネタバレにご注意を。

 では早速いってみよう。

BARRY ALLEN

 ご存知現職のフラッシュ、バリー・アレン。幼い頃に母を亡くし、その容疑で父親が逮捕されたことなどから警察官を志すに至り、フラッシュとしての正義感もそのへんに根ざしている。

 誠実な性格からジャスティス・リーグなどではチームの良心として扱われるものの、こと家族や恋人など身内が巻き込まれると見境がなくなるところがあり、過去にはヴィランを殺害したり(『 THE TRIAL OF THE FLASH 』)、記憶改変に加担したり(『 IDENTITY CRISIS 』)したことも。
 ただそういった間違いを犯しては痛い目を見て成長しており、まあ良くも悪くも市民目線ということです、はい。
 ウォーリーに関しても多少過保護かも。

WALLY WEST


The Flash by Geoff Johns Book Five

 現職キッド・フラッシュことウォーリー・ウェスト
 バリーが『 CRISIS ON INFINITE EARTHS 』(1985)で死亡してから『 FINAL CRISIS 』(2008)で復活するまでの間、彼の名を継いでフラッシュとして活動していた(カートゥーン版『 JUSTICE LEAGUE 』(2001 - )なんかの影響もあり90年代から00年代にかけてDCユニバースへ参入した読者からは根強い人気を誇る)。

 バリーの( FLASHPOINT 前の)妻であるアイリス・ウェストの甥っ子で、スーパーヒーローとしてのバリーに憧れて自らもキッド・フラッシュとして活動を始めただけあり、文字通り地に足の着いたスーパーヒーロー
 一時は正体を明かして活動していたような時期もあり、ヒーローとして、また1人の市民として常に良くあろうと努めてきた。

 報道記者のリンダ・パークと結婚し(後述のハンター・ゾロモンともこの頃出会う)、ジェイアイリスという双子を儲けた。ちなみに双子はどちらもスピード・フォースの力を有し、ジェイは身体強化能力を、アイリスは父と似た高速能力を備える。
 バリーが帰還してからもしばらくはフラッシュとして活動していたが……。 

FLASHPOINT


Flashpoint

 フラッシュは”コズミック・トレッドミル(見た目はジョギング・マシン!)”という装置を使うことで過去や未来を自由に行き来することができる。

『 FLASH : REBIRTH 』において母の死が25世紀出身のヴィラン、リバース・フラッシュことイオバード・ソーンにより引き起こされたものだと知り自責の念に駆られたバリーは、自らもコズミック・トレッドミルで過去に戻りこれを阻止。だがそれが原因で生じたバタフライ・エフェクトにより世界は大きく歪んでしまう(『 FLASHPOINT 』)。

 多くの犠牲を払い、ようやく世界を元通りに修正するものの、以降バリーはタイム・トラベルによる過去改変を危険視するようになる。

注:この辺りからタイム・パラドクス要素がどかどか入って話がややこしくなっていきます。

THE NEW 52

 さて、すっかり元に戻ったと思った世界だが、それはバリーがそう信じ込んでいるというに過ぎず、実は様々な変化が生じていた。
 特に第2次世界大戦中から活躍していた筈のスーパーヒーローは、ここ10年ほどの間に出没し始めた存在として歴史が書き換わり、これに合わせてウォーリー・ウェストを含めた多くのヒーローが存在ごと消失してしまっていたのである。
 またバリー自身についてもアイリスとの結婚がなかったことにされてしまうなど多くの変化に見舞われた。

REBIRTH

  
 しばらくしてバリー・アレンは再び(今や微妙な距離となった)アイリス・ウェストの甥っ子であるウォーリーという人物と出会う。このウォーリーもスピードフォースと繋がりキッド・フラッシュを名乗るに至るものの、アフリカ系であることや跳ねっ返りな性格など、(読者の目から見て)どこかおかしい……。


The Flash (2016-) Vol. 2: Speed of Darkness

 それもその筈。
 実はアイリスの甥っ子でウォーリー・ウェストと呼ばれる人物は2人おり、もう1人の(読者がNEW52以前からよく知る)ウォーリーはアブラ・カダブラ(+間接的にDr.マンハッタン?)というヴィランによりその存在を消され、人々の記憶からも忘れ去られていたのだ(この辺は『 TITANS 』参照)。


Titans Vol. 1: The Return of Wally West (Rebirth)

 
 だが彼はダークサイドとアンチモニターの衝突(『 JUSTICE LEAGUE : DARKSEID WAR 』)により生じた亀裂からDCヒーロー達に接触を図ると、紆余曲折を経てバリーのもとに辿り着き、現実世界への帰還を果たす(『 REBIRTH 』 — ちなみにこの展開は『 THE FLASH 』#163なんかも想起させる )。


DC Universe: Rebirth Deluxe Edition (Dc Universe Rebirth)

 以降、タイタンズのメンバーをはじめとした周囲と少しずつ親交を取り戻していくウォーリーだったが、長い間現実の外側に閉め出されていたことから彼の中には『 FLASHPOINT 』以前の記憶が色濃く残っており、特に最近は記憶と現実の齟齬に苦しめられていた。
 
 また、彼のいない間に叔母であるアイリスが正当防衛とは言えリバース・フラッシュ(前述のイオバード・ソーン)を殺害したことが明らかになると、それについて黙っていたバリーとの関係にも亀裂が生じた。
 それでも共闘を通じて2人の信頼関係は回復したように見えたが……。

ZOOM


The Flash By Geoff Johns Book Three

 
 話は前後するが、ここで FLASHPOINT 前、まだウォーリーがフラッシュとして活躍していた頃に時代を遡り、ハンター・ゾロモンという人物について説明する必要がある。

 連続殺人犯の父に母を殺害されたという過去を持つ彼はかつて F.B.I. で犯罪プロファイラーとして活躍していたが、ある事件でミスを犯したことにより義父を殺され、妻に去られると共にキャリアも失うという転落を経験してキーストーン・シティへやって来る。
 新たにメタヒューマン専門のプロファイラーとしてキーストーン市警に勤め始めた彼は、そこで当時ウォーリー・ウェストとしての素顔を明かして活動していたフラッシュと出会い、共に数々の事件を解決する。

 しかしグロッドから襲撃を受けて半身不随となった際、ハンターはウォーリーに対して過去に戻ってこれまでの悲劇を阻止して欲しいと懇願するものの彼はこれを拒否。2人の関係は破綻してしまう。

 その後、自ら前述のジョギング・マシン……じゃねえや、コズミック・トレッドミルを使用して過去に戻ろうとしたハンターは、だがこれに失敗し装置の爆発に巻き込まれてしまったものの、結果的にスピードフォースと結ばれ、高速能力を手に入れる(高速移動の仕組みはフラッシュと大きく異なるのだがややこしいのでここでは割愛)。

 さらにこれまでの経験からウォーリーが十分な悲劇を経験していないが故に能力を出し惜しみしていると信じるに至った彼は新たに”ズーム”と名乗り、フラッシュを自分の理想的なヒーローに変えるべく自ら脅威となることを決意する。

 最終的に彼は復活したバリーとウォーリーの手で収監されるに至ったが、その後当時まだ存命だったリバース・フラッシュに助けられ25世紀へ連れてこられる(『 THE FLASH : REBIRTH 』)。

*ズームとリバース・フラッシュについては容姿もそっくりなら名前も時代などによってごちゃ混ぜになっている。取り敢えず今は…

・リバース・フラッシュ=イオバード・ソーン。25世紀出身。アイリスの手にかかり死亡。
・ズーム=ハンター・ゾロモン。現代人。存命。

…ということだけ踏まえていればよろしいかと。
 もっと知りたければ DC 公式の解説である以下のリンクを参照。

www.dccomics.com
リンク: dccomics.com


ROAD TO FLASH WAR

 さてさて、時空改変から保護された25世紀から現代のフラッシュ達の活動を見守りつつ、共に攻撃の隙を窺っていたリバース・フラッシュズーム。だが慎重な態度を見せるズームに嫌気が差したリバース・フラッシュは、彼に先立ち21世紀へ。結果、アイリスの手で命を落とすことに。
 この様子を見たズームは遂にフラッシュ達に失望するに至り、最早彼らを理想のヒーローに作り変えるのは不可能と判断。内紛を引き起こし、彼らを自滅させようと作戦を練り始める。(『 THE FLASH #46 』)

FLASH WAR

 そして今週、遂に戦いの火蓋が切って落とされた『 FLASH WAR 』第1章
 その幕開けを告げるのは”レネゲーズ( THE RENEGADES )”という集団だ。リバース・フラッシュがあることないこと言いふらしてフラッシュを歴史上最大のヴィランに仕立て上げた25世紀で、逆に正義のヒーロー扱いされるようになった現代のローグズにインスパイアされた彼らは、イオバード・ソーンを殺害したアイリス・ウェストを罪に問うべく、彼女を連行しにやって来る。

 ズームの狙いとは?
 バリーとウォーリーの間に生じた亀裂は2人に破滅をもたらしてしまうのか?
 そしてこの衝突は DCU にどのような影響を及ぼすのか?



 さあ、これで『 FLASH WAR 』に関する予備知識はついた筈。

 数々の衝撃的展開が(第1章から早速!)待ち受ける2大スピードスターの激突を今すぐ読み始めよう!