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遂に復活!極秘組織の隠された歴史を描く『 S.H.I.E.L.D. 』


S.H.I.E.L.D. (2010-2011) #1 (of 6)

 今週1つの重要なコミックが発売される。

S.H.I.E.L.D. #5 』だ。

  S.H.I.E.L.D. といえばマーベルのファンには馴染み深い、しかし謎の多い国際組織。
 そんな誰もが知る組織の誰も知らない歴史を描くこのシリーズは2010年にライター Jonathan Hickman とアーティスト Dustin Weaver らによって世に送り出されたものの2011年に刊行されたVol.2の#4で休刊。ファンの間で長らくその行方が危ぶまれていた。

 だがそんな首を長くする日々にも遂に終止符が打たれる。
 今週、遂にシリーズが復活し、物語の続きを描いた#5が刊行されるのである。しかも6月には最終章の#6も刊行されるという。
 
 多くの読者が待ち望んでいた7年ぶりの新作……の筈なのに、マーベルはこれを全然宣伝しない!何故だ!?

 最近のマーベル広報部に対する思いは諸々あるが、それはまた別の機会にぶちまけるとして、今回はマーベルに代わりこのブログで本作の概要と魅力をざっくり紹介しよう。


あらすじ

 紀元前2620年、エジプトのイムホテプが宇宙生物ブルードによる地球侵攻を阻止したことを機に1つの組織が誕生する。それは世界をあらゆる危機から防ぐ盾 — S.H.I.E.L.D. 。
 彼らは” THIS IS NOT HOW THE WORLD ENDS (世界はこんなことでは終わらない)”を合言葉に人類の発展を陰から見守り、ギャラクタスクリーの巨大人型といった脅威が訪れた際には知恵の力でそれらに立ち向かった。
 そんな地球の守護を担う”ブラザーフッド・オブ・ザ・シールド(盾の同胞達)”のメンバーは世界中から集められた優秀な人材からなり、レオナルド・ダ・ヴィンチガリレオ・ガリレイアイザック・ニュートンといった天才達が彼らを率いた。
 そして次に S.H.I.E.L.D. を率いることを運命づけられている青年レオニド。ローマの地下に隠されたイモータル・シティ(永遠の都)で学ぶ彼の前にある時、遥か昔に死んだと思われていたレオナルド・ダ・ヴィンチが出現する。
 彼はニュートンの支配下で腐敗した S.H.I.E.L.D. の真実を彼に説き、組織を元の形に戻すべく協力を仰ぐが……。


主な登場人物


S.H.I.E.L.D. (2010-2011) #6 (of 6)

レオニド

 アイザック・ニュートンがデヴィアンツ(セレスシャルズが人類の進化を促す実験を行う際に生まれた亜種人類。怪物のような醜い容姿をしている)の女性との間にもうけた息子。ニュートンが去った後、暴徒に襲われかけていた母の前に現れたミケランジェロに託され、ニコラ・テスラに育てられる。
 成長した1953年にハワードとリチャードによって回収され、ニュートンと再会。以後、イモータル・シティで彼の後継者として学ぶ。
 終末論者のニュートンとそれに反発するダ・ヴィンチとの間で板挟みとなる。

レオナルド・ダ・ヴィンチ

 かつて S.H.I.E.L.D. を率いていた天才。
 太陽の異変を察知したため自分そっくりなアンドロイド( LIFE MODEL DECOY )を残し宇宙へ飛び立ち、そこでセレスシャルズの赤ん坊(スター・チャイルド)を発見する。
 やがて時を越え訪れた先の20世紀でニュートンの陰謀を知り、彼と対立する。
  S.H.I.E.L.D. 創設時の理念に忠実で、人類にはどんな危機も乗り越えられる無限の可能性が備わっているという考えの持ち主。
 ローマの地下にある S.H.I.E.L.D. の本部イモータル・シティも彼の設計によるものである。

アイザック・ニュートン

 ガリレオ・ガリレイに見出された理論家で、現在の S.H.I.E.L.D. 統率者。
 デヴィアンツの都アショミア(日本の本州にあるとか)で現地の女と息子レオニドをもうけた後、そこに隠されていた秘密の知識を持ち出して脱走する。
 人間社会に戻ってからは歴史に残る数々の発見を成し遂げる一方、ライバルとなるパスカルやライプニッツら科学者を次々と殺害。また霊薬を用いて不死を手に入れ、 S.H.I.E.L.D. の頂点に上り詰めた。
 やがてクワイエット・マス( QUIET MATH : 静かなる数学)を見出したことで人類の終末は不可避だと確信。自ら破滅を招こうと画策するに至る。
 

ノストラダムス

 有能な科学者であるとオカルトにも精通する予言者。未来を見通す能力に目をつけたニュートンに霊薬の粗悪品で生かされ続けるも正気をほぼ失ってしまった。
 イモータル・シティの地下に幽閉されていたところをレオニドに助けられる。

ナサニエル・リチャーズ

 ご存知ミスター・ファンタスティックことリード・リチャーズの父。 S.H.I.E.L.D. のエージェントとしてハワードと共にニコラ・テスラの保護下からレオニドを奪取する。
 後にテスラがイモータル・シティを襲撃してきた際、それに応戦していたところ自らに秘められていた時間転移能力が顕現し、60万年後の世界に飛ばされてしまう。
 後のスーパーヴィラン、カーンである。

ハワード・スターク

 アイアンマンことトニー・スタークの父。ナサニエルの相棒としてニコラ・テスラからレオニドを回収する。後にテスラやナサニエルらと60万年後の世界に飛ばされた。
 家族よりも科学への興味を優先し、息子との別離もやむなしと見做したプラグマティスト。

ニコラ・テスラ

 不遇の天才発明家。
 ミケランジェロからレオニドを託され育ての親となるも、彼を奪取しに来たナサニエルとハワードによって重傷を負わされてしまう。再び姿を著したミケランジェロによって命を救われるものの、その際に自ら発明したスーツなしでは生きられない体になってしまう。
 その後ナイト・マシン( NIGHT MACHINE )と名乗るようになった彼はニュートンの野望を阻止するためイモータル・シティを襲撃。その際、不意に発動してしまったナサニエルの能力で60万年後の世界に転移してしまい、元の世界に戻るべく彼やハワードと一時休戦協定を結ぶ。
 機械のスーツや胸に埋め込んだ装置などから後のアイアンマンとも関わりがあるものと思われるが…?

ミケランジェロ・ブオナローティ

 かの有名なルネサンスの偉人。ある時を境に”無限”に呑み込まれてしまい、時間や可能性を超越した存在、”フォーエバー・マン( THE FOREVER MAN )"となってしまった。原因は不明。様々な形で S.H.I.E.L.D. 及び人類史に干渉し、レオニドの選択にも大きな影響を与える。


見どころ


S.H.I.E.L.D. (2010-2011) #3 (of 6)

 
 国際諜報組織としてマーベル・ユニバースで活躍する S.H.I.E.L.D. の隠された歴史を壮大なスケールで描く本作。ギリシアでアルキメデスが巨大ロボットを操り、中国では張衡がセレスシャルと対話を試みる。誰もが知る偉人達が S.H.I.E.L.D. の一員としてアベンジャーズばりの活躍を見せる姿はそれだけでも興奮もの。
 
 ただ読み始めて当初はあまりに現在のミリタリー然とした姿と大きく異なるため肩透かしを喰らったような気分になる者も少なくないかもしれない。 S.H.I.E.L.D. の代名詞ともいうべきニック・フューリーも全く出てこないし。
 しかしここで読むのをやめてはならない。
 物語が進むに連れ S.H.I.E.L.D. は徐々にマーベル・ユニバースとの関わりを深め、みるみる見覚えのある形に変わっていく。

 オリジナル色が濃厚なため話を追うだけならあまりマーベルに詳しくない人でも十分楽しめる一方で、細かいところで厳選されたマーベル要素が姿を見せるのでコアなファンも満足の出来。
 特にデヴィアンツだのセレスシャルズだの、 Jack Kirby のファンにとっては垂涎ものといえるだろう。

 さあ、物語はいよいよクライマックス。
 遂に我々がよく知る紺色スーツにショルダーホルスターという出で立ちになった S.H.I.E.L.D. エージェント達は、追い詰められて逃亡を図ったニュートンを追って2060年の未来へ。
 彼らはニュートンの野望を阻止し、スター・チャイルドの暴走を止めることができるのか。
 2人の天才の対立を目撃したレオニドが最後に選ぶ道とは。
 そして S.H.I.E.L.D. は今後のマーベル・ユニバースにどんな影響を及ぼすのか。
 (どこかでニック・フューリーは姿を見せるのか?)

 今週発売となる7年越しの続編、そしてそれに続く最終章を見逃すな!

オススメの読み方

 
 これから読み始める人が注意すべきなのは、物語の後半である VOL.2 についてはこれまで#5と#6が欠けていたために未だ単行本化されていないという点( VOL.1 は単行本化されている)。


S.H.I.E.L.D.(vol.1の合本)

 なので手っ取り早く追いつきたいという人は電子書籍で読むのがおすすめ。 KINDLE や COMIXOLOGY 、あるいは MARVEL UNLIMITED なんかでさくっと読むことができる。

 また紙で読みたいという人には今月始めにこれまでの VOL.2 #1 - 4 をまとめた冊子が『 S.H.I.E.L.D. BY HICKMAN AND WEAVER REBIRTH #1 』として刊行されているのでそちらを入手すると良い。


S.H.I.E.L.D. by Hickman & Weaver: The Rebirth (S.H.I.E.L.D. (2011))